猫耳メイドカフェ 壱。 ページ6
「お待たせしました……にゃあ」
「はぁ、なんで俺がこんなこと……」
『二人ともごめんね。でも、別に無理しなくても大丈夫だよ。そのぶん私が頑張るから』
キメツ学園の文化祭。
里芋組の出し物は、満場一致で猫耳メイドカフェに決定した。
今はその衣装合わせで、何故か二人まで店員として参加している。
私は申し訳ないから、二人に無理をしてまでやってほしくはないんだけど……。
「は?やるに決まってるだろ。Aのそんな可愛い姿、他の奴らにはなるべく見せたくないからな」
「僕たちが店員やってれば、Aに変な虫がつかないか見張ってられるでしょ。こんな美味しい役職、手放す方が勿体ないし」
……ご覧の通り、二人はいつも通り甘い。甘すぎる。
そんなに言うほど似合ってはいないと思うんだけど、そう言って譲らなかった。無一郎くんが接客をする事に決まって、何故か銀杏組の有一郎くんまで駆り出されたのだ。
「それにしてもA、メイド服と猫耳すごく似合ってる。他の奴らに見せたくないくらいだな」
「うん。一回、“お帰りなさいませご主人様”って言ってみてよ」
『えっ、嫌だよ恥ずかしい!』
「どうせ当日は言うじゃん」
『う〜ん……確かに』
猫耳メイドをする事になるなんて、夢にも思わなかった。正直この二人に言うのは恥ずかしいけど、当日失敗するよりはマシかもしれない。
『……お帰りなさいませ、ごっ……』
本当に言うの!?
言えるの!?
二人は期待の眼差しで私を見ている。
あ〜もう、言うしかない!
『……ご、ご主人様っ!』
勇気を振り絞って言うと、二人は卒倒した。
『え、何!?大丈夫!?』
「……何これ、かっわい……」
「メイド属性なかったけど、いいなコレ……」
『もう、死ぬほど恥ずかしいんだから茶化さないでよ!ご主人様なんて初めて言ったし、こんな反応されたらもう二度と出来ないから!』
「……駄目だ、もう一回言え」
「ご主人様からの命令だよ。従って」
『……』
なんだろう、この威圧感。
いつもはすごく優しい二人なのに、逆らったら怖いことになりそうな気がする。
『あーもう、分かった!……お帰りなさいませ、ご主人様!』
半分くらい投げやりになりながら言うと、有一郎くんも無一郎くんも見たことがないほど綺麗な笑顔になった。
「……ん、合格」
「よく出来ました。えらいえらい」
『……も〜、頭撫でるのやめて!』
明後日は、文化祭当日。
二人と楽しい思い出が作れるといいな。
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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時