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本当は 壱。 ページ41

【ASide】

『……え、幻覚?』

驚いて何度も目を擦った。でも、先輩は消えない。ということは、やっぱり……。

『本物……?』

なんで、有一郎先輩がここに。一度家まで送ってもらったことがあるから、場所を知っていたのは当然にしても……。どうして、ここに。

『先輩!!どうしたんですか、迷いました?ここの道をまっすぐ出れば、駅までの道に繋がりますよー!』

「A……。別に、迷ったわけじゃない」

汗だくで走っていたから、道に迷ったのかと思って窓から声をかけた。でも、違ったらしい。

『じゃあなんで、こんな所に……』

「――お前に、会いに来た」

『え……私に?』

先輩は息も切れたまま、途切れ途切れに言葉を続ける。

「ずっと……お前のことが、頭から、離れなかった……。何してても、思い出すのは、お前のことだ……っ」

『え、っと、何の話ですか……』

「――俺は、お前が好きだ」

『…………え?』

「もう、遅いかもしれない。お前は俺のことなんて好きじゃないかもしれない。でも、俺はお前が……Aが、好きだ」

体力が回復してきたのか、段々喋り方がいつも通りになっていく。その分言葉がストレートに伝わってきて、私は耳を疑った。

嘘、だよね?

先輩が私のことを好きなんて、そんなわけ――。

『なんで……?』

「今まで、一度もお前の中身を見ようとしなかった。前の恋を忘れるために利用しておいて、一度だってA自身を見てなかった」

『だって、先輩は桐宮先輩のことが好きで……』

「いつの間にか、本当に大事なのはお前になってた。気付くのが遅かっただけだ。……本当は随分前から、お前のことが大事だった。傷付けるまで気付けないなんて、俺は本当に馬鹿だったと思う」

『う、嘘だ』

素直に信じることができなくて、思わずパニックに陥る。だって、今まであんなに辛かったのに。こんなに幸せなことが突然起きるなんて、おかしい。

『嘘ですよね?私に罪悪感を感じてるから、またそうやって自分に言い聞かせてるんじゃないですか?……先輩が私を好きなんて、そんなの信じられない』

素直に受け入れられないなんて、可愛げがないにも程がある。でもこれでぬか喜びして、後で悲しむのは嫌だ。

「……わかった。そっち行くから、待ってろ」

『先輩!?』

先輩は、あろうことかベランダを伝って私の部屋の窓に登ってきた。……運動神経がいいって次元の話じゃない。

『何してるんですか、馬鹿じゃないの!?』

本当は 弐。→←ごめんなさい。



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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時

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