クリスマス 弐。 ページ33
【ASide】
『先輩、いいですか。遊園地は戦場です。如何に効率よく回るか、それが鍵ですよ』
「お前……。結構ガチだな」
『まずは絶叫系に三回くらい乗っときましょう。その後は少し軽めの乗り物で落ち着かせつつ、最後に乗りたい物を絞ります』
「もういい、全部任せる」
『じゃあ、行きますよ先輩!』
有一郎先輩の手を引いて、一番有名なアトラクションに乗り込む。360°回転する乗り物は、爽快感が半端ではない。
『最高でしたね!あ、落ちる瞬間の写真あるみたいですよ』
「は!?え、ちょっと待て、見るな絶対!」
『嫌です。せっかく来たんですから、そこまで楽しまなきゃ損ですし』
写真売り場に移動して確認すると、有一郎先輩は白目を向いていた。
『……っ、そういうこと、ですかっ……』
「プルプルするのやめろ。偶然撮れただけだからな!別に怖かったわけじゃない!」
『あー……。そうですね。じゃあ、コーヒーカップでも乗りに行きましょうか。絶叫系はこれでおしまいですね』
「絶対馬鹿にしてるだろ!」
別に馬鹿にしてるわけじゃない。好きな人とのデート(仮)なのだから、二人で楽しめるものでないと駄目だろうし。
半日間あまり怖くない乗り物に乗り、思っていたよりあっという間に時間は過ぎた。
『先輩。そろそろお昼にしましょう』
「そうだな。何か売ってる所あるのか?」
『えっと、クレープ屋さんならあるらしいです。クレープって言っても甘いものばかりじゃないですし、ご飯っぽいものなら……』
「別に普通のでいいだろ」
『先輩、甘いもの好きなんですか?』
「嫌いじゃない」
そうは言いつつも、先輩は生クリームが大量に乗っているクレープを注文した。相当のスイーツ男子なのだろう。
『……なんか、意外です。実は絶叫系苦手なのも、甘いもの大好きなのも』
「うるさい。それに、別に絶叫系が苦手なわけじゃない。内蔵浮く感じが苦手なだけだ!」
『はいはい、わかりましたよ』
嬉しいな。
先輩の新しい一面を知れたのも、正式ではないにしろデートできているのも。
期待……。
今までは全くしていなかったけど、してもいいのかな。ほんの少しだけ、自惚れてしまう。
「……おい、A」
『はい』
「クリーム付いてるぞ。……ったく、どうやったらこんなに付くんだよ」
呆れたように言いながらも、先輩は鼻に付いたクリームを指で取ってくれた。
……駄目ですよ先輩。
そんなことされたら、期待しちゃうじゃないですか。
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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時