花火大会 壱。 ページ22
夏休みが始まって六日目。そして、今日はキメツ町で行われる花火大会の日だ。
二人とは現地集合の約束だ。理由は……。精一杯、おめかしして行きたかったから。
「Aちゃん、来たわよ〜!」
「お邪魔します。綺麗なお家ですね」
『カナエ先生、しのぶちゃん……。ごめんなさい、迷惑かけて』
「いいのよ〜!私も楽しみだもの!Aちゃん可愛いから、きっとお化粧映えすると思うわ〜!」
「迷惑だなんて思ってませんよ。可愛い後輩の役に立てるのは、嬉しいですから」
カナエ先生としのぶちゃんは、私にお化粧をしてくれるらしい。浴衣を着て行きたいと相談したらじゃあお化粧もしないとねという話になり、会場に向かうついでにお化粧を施してくれることになった。
浴衣も着せてもらって、お化粧もしてもらって、何だかすごく“女の子”してる気分になった。
そして二人にお任せすること十五分。ついに準備ができた。
『二人とも、本当にありがとうございました!』
「やっぱり予想してた通りね!Aちゃん、すっごく可愛いわ〜!」
「ええ。とても綺麗ですよ」
恥ずかしかったけど、二人の腕は確かだった。
まるで、私じゃないみたい。いつもよりも、ほんのちょっとでも……。可愛く、なれてるかも。
待ち合わせ時間が迫っていたので、二人にたくさんお礼を言って別れた。
「A、場所間違えたりしないかな……?」
「大丈夫だろ。……いやでも、変なナンパとかされてないよな?大丈夫だよな?」
『二人とも、お待たせ』
「!!」
「A、やっと来た――」
振り返って私を見るなり、二人は目を見開いた。
「「…………」」
何も言わない、無言の時間が続く。
え、何!?もしかしていつもより少しだけ可愛くなれたとか思ってるの私だけで、実際はすごく変だったりする!?
いやでも、お化粧してくれたのあの二人だし……。ん〜、でも……。
『あ、の……。変、かな?』
「ううん。……いいと思うよ」
「その……可愛い、ぞ」
反応がいつもよりも薄い気がする。やっぱり変だったのかな……。
「じゃあ、行こっか」
『うん』
「A。いつも通り、はぐれないように手繋いどけよ」
『分かった。手、借りるね』
二人の手を繋ぐと、それぞれ反対方向に顔を背けた。え、本当何なの!?
「A、何食べたい?」
『えっとね……。まず、焼きそばでしょ。それとりんご飴に、わたあめに、イカ焼き……』
笑ってる。何なんだろう今日の二人。
すごく変。
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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時