お約束 壱。 ページ17
いつものように馴染めない人たちの中で居心地悪く過ごしていると、突然女子部屋の扉が開いた。
「遊びに来たぜー!」
クラスの男子たちが遊びに来たようだ。中には無一郎くんと有一郎くんの姿もあったので、女子たちは黄色い声を上げた。
「うそ、時透兄弟がいる!」
「もっと可愛いパジャマ着てくればよかった〜!」
やっぱり、相変わらずの人気ぶりだ。
……無一郎くんに関しては、少しヤキモチを妬いてしまう。
「A。遊びに来たよ」
『うん!』
「……あ〜、やっぱり桐宮さんに会いに来たのね。残念」
「人生楽しいだろうね、あんなかっこいい彼氏がいるのに有一郎くんにまで想われてるとか」
……聞こえてるんですけど。いや、確かにそうかもしれないよ?無一郎くんも有一郎くんもかっこいいし、そんな人が恋人なんてすごいことだと思う。
でもなんか……。そんな言い方、まるで馬鹿にされてるみたいだ。
「……なぁ、お前ら」
すると突然、有一郎くんは私たちのことを話していた女子に声を掛けた。無一郎くんも、そっちの方を向いた。
「自分たちがモテないからって、ひがむのやめたら?」
「言いたいことがあるなら直接言ってくればいいだろ。影でコソコソとか、性格ブスにも程がある」
「……だ、だって!無一郎くんと付き合ってるのに有一郎くんにも思わせぶりな態度とって、酷いと思わないの!?」
思わせぶりな態度と言われても……。だって、昔からこの距離感なんだよ。関係が少し変わったくらいで距離感まで変えたら、逆に失礼だし。
「君たちには関係ないでしょ。それに、僕たちが今のままでいたいんだからいいんだよ」
「次からそんなこと言うな」
「――で、でも」
「……まだ起きてるのか?」
女の子が何か言いかけたとき、部屋の前から冨岡先生の声が聞こえた。
まずい、見回り?
女子部屋に男子が来ているなんてバレたら、大変なことになるかもしれない。
「やばい、先生が来たぞ」
「隠れなきゃ!」
電気が消えた後にヒソヒソ声が聞こえ、布団を被る音がした。私がモタモタしていると、誰かが布団の中に入れてくれた。
「……寝ているのか?」
先生が部屋の中に入ってきた。
だけど私は、それどころではなかった。
両サイドから無一郎くんと有一郎くんに抱きしめられた体勢になっていたからだ。
ええええ、何この状況!?顔が熱いし、恥ずかしいし、何より近いし!
先生はなかなか部屋を出ていかない。まずい、顔が溶けそう……。
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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時