そろそろ成仏させてください。【冨岡義勇】

成仏したい ページ15

冨｢A･･･｣

『義勇さん。･･･師範、成仏できましたよ』




私は師範を見送った後、屋敷へ戻った。
すると、義勇さんは少し目を伏せて、私に近づいてきた。




冨｢･･･Aも、成仏したいか？｣

『はい。したいです』




私がそう答えると、義勇さんは悲しそうな顔をして俯いた。しばらくして、口を開いた。




冨｢俺も、Aのことが好きだ｣

『･･･！』

冨｢俺はAに、成仏してほしくなかった。だから返事をしなかったんだ｣




Aが消えて、この世に存在しなくなると思うと、胸が痛かった。




と、義勇さんは言い、頭を下げてきた。




冨｢すまなかった。･･･苦しかっただろう｣

『苦しかったですが･･･』

『楽しかったですよ。義勇さんと過ごす日々が』




私の体が透け始めた。そろそろ消えるのだろうか。




『さようなら、義勇さん。･･･大好きです』

冨｢A･･･っ｣




私が義勇さんを抱きしめると、彼は抱きしめ返した。
かなり苦しい。




2時間後




『･･･』

冨｢･･･｣

『･･･あの、義勇さん』

冨｢なんだ？｣

『私、いつまで経っても、成仏できないんですけど』




なんと、返事を聞いても成仏できなかった。

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