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「A、お疲れ様」
白い世界だった。
俺は隊服を着ていなくて、刀も持ってなくて。絵を売っていた頃の着物を着ていた。
『父さん!!』
「お前はよく頑張った。俺の過ちを終わらせてくれてありがとう」
にこ、と笑った顔を久しぶりに見た。
父はこんな風に笑っていたのか。
最期に見た苦しそうな顔しか思い出せなかったが、記憶の片隅にいたのだ。
「だが、お前はここにいてはいけないよ。
ちゃんと元いた場所に帰るんだ。
絵ももう描けるようになってる。
大丈夫、父さんは1人じゃない。
俺はお前の仲間と長話でもしているよ。
毛先の赤い、とても元気の良い青年だ」
『煉獄…、そっちにいるのか、はは、良かったや』
俺はそっちには行けないようだ。
帰らなくちゃ、みんなのいるところに。
『父さん、煉獄と長話でもしててよ。俺は当分そっちに顔は出さないからさ』
ふわりと引き寄せられる方へ、俺は身を任せて進んでいった。
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作者名:だしまきたまご | 作成日時:2020年2月20日 21時