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主side
『すみませーん』
少し寂れた村についた。
人はちらほらと住んでいるようだが、荒屋の、家と呼べるには苦しい建物ばかりだ。
ここでは毎夜子供が拐われて、行方不明になるという。
婆「もし…、そこの若いの」
『あ、こんにちは、おばあさん、話が聞きたいんだけどさ…』
婆「お主も拐われるぞ。今夜も、鬼が出る…」
『その鬼退治に来たんだ。ちょっと話を聞かせてもらえるかな』
話によると、ここの奥の森に小屋があり、そこに連れて行かれるそうだ。
『おばあさんは、この家からそれを見たんだね?』
鬼は年寄りよりも子供の肉を好む。
うんざりするほどその叫び声を聞いてきた。
目の前で喰われるのも見た。
『今夜、その悪夢を終わらせてあげるから、夜までおばあさんの昔話を聞かせてよ』
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日が落ち、あるのは月明かりのみとなった。
善逸みたいな派手な羽織じゃなくて良かった。
紺色は闇に紛れやすい。
隊服を隠すように羽織を纏う。
『…来た』
まだ見た目は人型で、麻袋を引きずっている。
微かに血の匂いがする。
婆「わしより先に逝くでないぞ、若いの」
『…大丈夫、行ってきます』
鬼は森の方へ入っていった。
気配を消す。
殺気を、憎しみを、極限まで押し殺す。
全集中常中を解く。
"普通の人間"として色を変える。
麻袋の跡をゆっくりと、普通の人間が歩く様に辿る。
小屋の前まで来た。
"普通の人間が、迷い込んでこの小屋を訪れた"様に
扉を開けた。
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作者名:だしまきたまご | 作成日時:2020年2月20日 21時