【鬼滅の刃】鬼になるなんてどうかしてる

（弐）どうやら鬼になったようです ページ3

鋭い爪
尖った牙
そして


「マジか………塞がってるよ」




腕が貫通してできた腹の穴が塞がるほどの再生力




ーどうやら私は 鬼になったようですー








******

夜空に浮かぶ月はきれいな円を描いていた
星の煌めきもこの光の前では霞んでしまうだろう








私の住む町が鬼に襲われたのは つい先刻のことだ


鬼相手に普通の人間が何か出来る訳もなく


───全滅した




ん？ 私が残っているわけだし全滅ではない？





いや違うな……人間の私は確かに死んだんだ



だってもう








“ヒトの頃の思い出”がほとんど見当たらないんだ




家族のこと、友達のこと、楽しかったこと、
辛かったこと………いっぱいあったはずなのに
もう何処にも見つけられない









………だというのに

その事が“全く”悲しくないんだ

おかしいだろう？ 何も、感じないんだ

これが鬼になるってことなんだとしたら
鬼ってやつはなんて悲しい生き物なんだろうか








はぁ………こんな状態になってまでやりたいことってあるんだろうか




…………思いつかない





まぁこれはつまり 生きる意味も意義も、今さら見つけようなんて無理な話ってことだろう






………じゃあもう休んでいいかな？いいよね？



だって自我も失って誰かを殺すくらいなら
日の光でも浴びて消えてやるってもんでしょう




苦しいのは嫌だ 楽に消えたい






んじゃ、お休み




「ふわぁ……ぁ……「キャァァァァァ！！！！！」








悲鳴！？よりによってこのタイミングに！？


まだ生きてる人間なんて───って考えてる場合じゃないか




速く助け───────ｯ！！









…………私今、何て言おうとした？


“助ける”？ 鬼が、“ヒト”を？








はは、……これだから私ってやつは





──やりたいことがないだって？





嘘つけ、ちゃんとあるじゃないか






私はヒトを






≪助けたいんだ≫









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