【鬼滅の刃】鬼になるなんてどうかしてる

（漆）何処か遠くの誰かの記憶 ページ12

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───長いながい、夢を見ていた





───そこにいるのは私と





───鬼と闘う一人の青年





その後ろ姿を見ていると、なんだか懐かしいような

それでいて心があったまるような不思議な感覚

にとらわれた









『玖ノ型────』









青年が一際(ひときわ)大きな技を撃つ



…だが




(それじゃ………足りない)







────私の奥深くに眠る記憶


この勝負の結末、何もできなかった無力感

たくさん流れた血と 悲しみの涙


全部、覚えてる









────私は必死に手を伸ばす




届かないと分かっていても、止めることは出来なかった







────彼の腹に突き刺さるアイツの腕





鬼は逃げ、彼は死ぬ



幾度となく見たこの光景は、それでもやはり
慣れることはなかった





何度も何度も、必死に手を伸ばした



だがそんな私を嘲笑うかのように 目の前で繰り返されるこの“死”はまさに





悪夢だった









────己の無力さを呪った


────何一つ掴めないこの手を憎んだ







…………………何よりも、彼に生きて欲しかった




この世界は私のたった一つの願いすら叶えてくれないと言うのか







───ならばもう、耐えるのはやめよう







いつも誰かを守り続けた貴方を



今度は私が───────────









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