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数年ぶりに熱を出してしまった。
ここ数日ほとんど寝ていなかったせいで
免疫力が下がったのだろう。
今日はAのお祝いでもしてやろうかと思っていたのだが、少し厳しそうだ。
「.......ちゃんと飲めましたね。偉いです」
今まで俺に偉いなんて言ってきたのは父母とお館様くらいだ。
ずいぶんと言うようになったじゃないか。
なんて事を考えていると、Aの髪の毛が頬にあたった。
「と、突然目を開けたらびっくりするじゃないですか。
........やりにくいので目を閉じて下さい」
訓練着すら一人で着れなかったAが
手際よく黙々と俺の手当てをしている。
これは新しい気づきだ。
照れると本当によく瞬きをするのだな。
意識が朦朧とする中、
目の前にAの手があった。
そっと自分の方に引き寄せる。
身体が熱くて苦しくて仕方がない。
「.....あの、手を....離してもらえませんか」
嫌なら無理矢理にでも振りほどけばいい。
口では離せとかなんとか言っているくせに
俺に手をゆだねてくるのはなんなんだ。
「.....ちょ、っと....」
少し力を強めると、普段のような冷静さはどこにもなく、息苦しそうに顔を赤らめていた。
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作者名:もち | 作成日時:2020年11月16日 19時