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遡ること四時間前



「あら、煉獄さん。もう体調は大丈夫ですか?
熱を出したと聞いた時は雪でも降るかと思いましたよ。」

「うむ!胡蝶の薬のおかげもあり!もうこの通りすっかり元気だ!感謝する!」

「それは良かったです。
ところで蝶屋敷になんの御用ですか?」

「晩飯を食いにきてやった!」

「....はい?」

「今日はAと胡蝶で炊事をするのだろう?」

「.....うん?なんのことでしょう。今日の炊事は私ではありませんよ。Aちゃんもまだ戻ってきていないですし」

「......む?!」








Aは確かに胡蝶と約束していると言っていた。

あれは嘘だったのか?
しかし何故そのような嘘をつく必要がある。

まあ考えるのは後だ。

蝶屋敷を飛び出したはいいがどこにいるかまったく検討がつかない。

出会った当初は何をするにも苦戦していたAだが、今は日輪刀も持っているし十二鬼月に遭遇しない限りは一人でなんとかできるはずだ。






「 これはまた随分と派手に慌ててんなあ 」






「宇髄!いい所に来た!Aを見なかったか?!」

「....... ああ、Aなら二時間くらい前に派手に泣きながら歩いてたな、声はかけていないが」

「どこで見たんだ」



その後宇髄の言っていた場所を一通り探し回ったがいくら探してもAの姿はなかった。

訓練で休憩を与えなかった事が
泣くほど辛かったなら言えばいいものを何故我慢するんだ。

言わなきゃ分からないだろう。


うむ、明日の鍛錬は打ち込み稽古のあと10分ほど休憩をとって、その後に持続力訓練、その後また10分ほど休憩を挟んで


って今はこんな事を考えてる場合じゃない。






「....ん?」

突然鎹鴉が俺の肩に止まった。

『.............』

「それは本当か?!」

『..............』

「そうかAは無事か.....どこにいた!」

『................』

「蝶屋敷だと?蝶屋敷なら先程行った。
胡蝶はまだ帰っていないと言っていたが」


鎹鴉もよく分からないとの事だ。


今すぐにでも飛んで行きたいが
時間も時間なので明日問い詰めてやる事にした。

何はともあれAが無事ならそれで良い。
ここ数時間生きた心地がまったくしなかったぞ。


本当に世話の焼ける弟子だ。

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作者名:もち | 作成日時:2020年11月16日 19時

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