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11話 伍ノ型 ページ11

その後何とか設備を揃えたり、使用人の方に来てもらったりして
蝶屋敷のように整えることが出来た
加えて少しばかり治療の心得を勉強中だ

お館様にも報告すると、
お返事では大変喜んでくださっている御様子


久しぶりの合同任務で義勇さんと街に出ていた
そこには神隠しの噂が立っていた

単独ではない上に彼のおかげで想定よりかなり早く済んだ
十二鬼月、下弦の鬼が巣食っていたこともあり
私達が到着する前に負傷者が出てしまっていた



『隠の方、私の屋敷に彼らを運んでください』


「A」


『はい、義勇さん』



隊員の足を応急処置しながら返事をする
十二鬼月を倒したというのに、怪訝な表情だ
言いたいことは、わかっている




「いい空気ではないな」


『そうですね...特に北西が気になります』


「なぜ?」


『勘と言えばそうですが...最も太陽の遅い方角ですから』




私達は街より北西の小高い丘の上にあった林へ入った
鬱蒼としたかび臭い湿ったにおいが鼻をつく



「とまれ、あれだ」



先を行く義勇さんの目線の先には
鬼らしからぬ少女のような姿の鬼が
古びた小屋の扉をを背にしてうずくまっている



『私が行きます』



ざっと足を進め鬼の前で立ち止まった
間合いの一歩外にいて気が付いていないのか顔をあげない


『私は鬼殺隊のものです、あなたの頸を斬りに来ました』


その言葉に驚いた様子で逃げようと背を向けるが
足を震わせて立ち止まった



「...そうか、死ねるのか
もう逃げなくていいんだ
私を、殺してくれるのね」


背を向けたまま呟いて、膝から泣き崩れた
私は静かに近寄って頸を斬った



『水の呼吸、伍の型、干天の慈雨』




抵抗なしに頸を切られボロボロになっていく鬼
ひどく悲しそうだった



「お兄ちゃん、おにいちゃん、今行くよ...」




本当に少女のようだった
私がしゃがんで手を合わせていると
後ろからグッと腕を引っ張られる
義勇さんが険阻な表情で立っていた


「鬼に情けは必要ない」


『...必ずしもそうではありません、
自ら望んでなった鬼ばかりではないはずです』


「これを見ても、同じことが言えるのか」


義勇さんは近くにあった小屋の戸を開けてみせた
血のにおい、人のにおい、死臭が漂っていたから想像はついていたが
いざ、目の当たりにするには身に堪えた



「こいつは人を喰っていた、それが事実だ」

12話 慈悲→←10話 ドングリ



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紗夜菜(プロフ) - はいっ!更新楽しみにしています。 (2020年4月21日 13時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - いえいえ、誰にでも間違いはつきものなので! (2020年4月21日 7時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - 冨岡さんの「冨」は、「富」では、ないですよ。 (2020年4月20日 17時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みそ | 作成日時:2020年2月3日 1時

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