今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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─── まもなく1番線に電車がまいります
危ないですから黄色い線の内側までお下がり下さい


週末が明けいつもより一本早い電車に乗る。


今の気分を一言で表すなら「気鬱」と言ったところだろうか。

原因は仕事が嫌だとかそんな理由ではなく、土曜の食事で少しばかり取り返しのつかない失態をおかしたからである。

早く乙葉に話を聞いてほしいなんて考えながら電車で仮眠をとって、学校に向かう。

駅には夏祭りや花火大会のポスターが張り出されていて、日が経つのはあっという間だななんて思っているうちに職場についた。




◆




職員室に着くと宇髄が頬を緩めながら
一枚の水彩用紙を眺めていた。



「朝から何をそんなにニヤニヤしているんだ？」


「これを見てくれ」



その用紙に目を向けると
橙色と黄色の花が繊細に描かれていた。



「これは乙葉が書いたのか？」

「なんで分かんだ？」

「花と言えば乙葉だろう！」

「ふ〜ん。
自分の好きなもん書けっつったら
こんな可愛いの提出されて頭抱えてる」

額に入れて飾りたいわーなんて言いながら
彼女の絵を自分のデスクの上に立てかける宇髄。




「先生の髪色、中庭に咲いているマリーゴールドとまったく同じ色なので、いつも水やりをする度に煉獄先生を思い出しています」




「もう一度よく見せてくれないか！」

「だーめ、これは俺のだから」

「少しくらい良いだろう！！！
それにその絵は君のものじゃない」

「俺のだっつってんだろ！！」

「君のものじゃないと言っている！！！」





「朝からうるせェぞお前らァ」



不死川の一言により
思いのほか大声を出していた事に気づく。

すまないと謝って席につけば
再び宇髄と視線がかち合った。



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