逃がさないと言われましても 2【煉獄杏寿郎】

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「それでは始める」


私は今日も水柱様の稽古に来ていた。





***





結局あれから師範を待つ間に寝てしまい、目が覚めた時にはもう走りに出る時間で、慌てて隣に寝ている師範を叩き起した。


師範から聞いた内容は以下の通りである。


炎柱様は柱になる前、交際していた女性がいた。
任務中彼女を助けた事をきっかけに遠距離交際が始まり、

約1年くらいは順調に進んでいたが、炎柱様が柱に昇格し、任務に追われる日々がしばらく続く。

最終的にそれに耐えられなくなった彼女が一方的に別れを告げ破局。



師範曰く、その後しばらくは相当参っていたそう。




「その女性に会ったことはありますか？」

『ああ、一度だけな』



「······どんな人だったんですか」

『派手に美人で品があってお淑やかでお前とは正反対の女』

「·····っ師範きらい」


許婚がいると言われていたらそれこそ立ち直れなかったけど、これはこれであまりにもショックが大きい。



少し前の私であれば「私は耐えられます！だから私とお付き合いしましょう！」とかなんとか言っていただろうけど、一度振られているしまた傷つく事を恐れてしまってどうすることもできない。





悲しいけどしょうがない。




きっと私に話して来なかった事がすべての答えなんだろう。






***





水柱様は稽古が終わるとまたお茶とお菓子を出してくれた。





「わ！いちご大福！」

「········」

「いただきます！」

「········」

「んふふ、おいしいです！」

「········そうか」









「それにしても他の隊士が誰も来ませんね？」

「·········」

「昨日も私だけでしたし····」

「··········」


黙り込む水柱様に視線を向ける。

水柱様は眉間に皺を寄せながらお茶をすすっていて、少しムッとしているように見えた。

何かまずいことでも聞いてしまったのだろうか。









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「俺は嫌われてない」




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