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「…やっと…し…ねた…」
死ぬ直前、そんなことを口にしながら迎人の首に腕を回した。
あたたかくて、優しい匂いがする。
こんなに穏やかな気持ちで死ねるなんて幸せだ。
さようなら、炎柱様。
そこで意識はぷつりと途絶え、私は念願のあの世へ旅立っていくのだった。
◇◆◇◆
次に目を覚ますと、行灯の影がゆらりと揺れる薄暗い天井が視界に飛び込んできた。
私の想像ではあの世＝雲の上を想像していたのだけれど、思っていたより普通……というか、生きていた頃と全然何も変わらない。
おとぎ話に出てくるような天国に続く階段とか、のどかな湖のほとりとか、そういうのを期待していたのに。
このただならぬ全身の痛みはそのうち消えるのだろうか。迎人に名前を呼ばれたあたりからの記憶があやふやだ。
まあいいや、ひとまずお母さんたちを探そっと。
そんな気持ちでふと顔を横に向けると、何かが頬に当たった。
「……？！」
「お、やっと起きたか！具合はどうだ？」
そこにいたのは、炎柱様。
炎柱様…？！
ちょっと待って嘘でしょ。
あの世にまで着いてくるってどういうこと？
「…どうして炎柱様が
「君が倒れているところを俺が運んできたのだ」
大きく目を見開く私にどこか安心したような眼差しを向けてくる炎柱様。
冷たかった心臓が、どくんどくんと音をたて始める。
掌に力を入れると次第に身体の感覚が戻ってきて、全身が燃えているみたいに、身体中が熱を帯びていることが分かった。
なるほど、ここは現実世界で
私はまた炎柱様に助けられてしまった。
状況を理解した途端、不意に目の奥が熱くなってくる。
ぽろぽろと涙が溢れ、咄嗟に毛布で顔を隠すと、炎柱様がそれをすぐに剥いで睫毛が触れそうな距離で見つめてきた。
そのまま、すり、と顔を擦り寄せられる。
「今日のことは本当にすまなかった。すべては俺の責任だ」
「だが君も君だ。俺に黙って勝手にどこかへ行くようなことはこの先二度としないでくれ。頼むから」
いささか震えたその声は、驚くほど小さかった。
刹那、初めて出会った日に感じたあの痛みが胸の奥に走る。
「それにしても酷い熱だな、今水を持ってきてやろう」
そう優しく囁いた炎柱様は私のまぶたに舌を這わせて、目の端から涙を舐めとった。
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もち(プロフ) - さゆさん» さゆさん、はじめまして！読んでいただきありがとうございます！裏はパスワードではなくマイページ→設定→コンテンツの設定(18歳以上ですか？にチェック)をしてもらえると私の作品一覧に出てきます！よろしくお願いします！ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c7f5481e11 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - はじめまして！キュンキュンしながら読ませて頂いてます！裏ページを読みたいのですが、パスワードが分からず辿り着けません。どうすれば読めるのでしょうか？宜しくお願いします！ (2023年4月1日 23時) (レス) id: 2c44582f68 (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - まっひーさん» まっひーさん！！コメントありがとうございます！嬉しいです！もちもSな煉獄さんが大好きでしてﾌﾌﾌ(´^∀^｀)ﾌﾌ (2021年12月22日 11時) (レス) id: 825ae5ee71 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - うひゃぁ〜！煉獄さんかっこいい！！ (2021年12月21日 20時) (レス) @page43 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - 衣世さん» 炎柱様の衣世さん！最後まで読んでいただきありがとうございます！！実にいい響きですね( ｰ̀∀ｰ́ )ニヤニヤしちゃいますw後日談の更新も頑張ります〜！！ (2021年12月17日 14時) (レス) id: 825ae5ee71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もち
| 作成日時：2021年10月5日 10時
