【BTS】その両手で私を。【JM】

43.取捨 ページ8

「彼を、知ってるの……？」
「言ったでしょ。俺結構人脈広いの」


だって銃弾やナイフで刺された傷なんてふつうの医者に見せらんないでしょ。

先生は、小さく笑って続ける。


「それにここにいるやつ等はほぼ全員自分の名前やその他全部。病院で診断してもらうのに必要なものなんて捨てた奴等だからね」

「あ、えちょっと、……待って。そう言えばわたし二人が傷を負ってるとこなんて……」

銃や切り傷なんて以ての外だし顔のかすり傷だって見たことがない。


「まぁそりゃVもJIMINもアサシンだからね。日本のアニメや漫画みたいに銃撃戦とかバトル繰り広げる訳じゃない。いかに静かにターゲットを依頼通りばれずに殺せるかって言う……」

それに。
とソクジン先生はわたしの目を見る。


「特にジミンは危ない仕事とか、昔みたいに引き受けなくなったと思うよ。君に心配かけたくないから」


その言葉に心臓が甘い痛みを感じる。



「……じゃあ僕、一旦学校もどるから」


もしかしたら、彼を知る先生には、まだまだわたしに聞きたいことが沢山あるのかもしれない。

けれど先生はそれを口にはせず、この白い部屋から出て行く。



「あぁ、後」

部屋を後にする直前、先生はこちらを振り返る。




「ずっと独りぼっちだったその子の友達になってくれてありがとう」


そう言って、後ろ手で彼は扉を閉めた。

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