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58.話す ページ23

「……久し振り」


登校してきたその人は、靴箱の前で待っていたわたしを見て顔を歪め、縋るように抱きしめた。

「よかった……っ、生きてて」


そんなテヒョンの背中に腕を回す。



「ごめんね、テヒョン」
「何が? Aが生きてたらどうでもいいよ。死んでないし」

謝りたいことはその事だけじゃ無いけど。



「ねぇ、テヒョン。わたしにテヒョンの事全部教えて。わたしのことも話すから」






授業をサボったのは初めてだった。


テヒョンが南京錠を壊し、二人で屋上に座って馬鹿みたいに青い空の下でぽつりぽつりと言葉を交わす。


「テヒョン最初、わたしに同じ匂いがするって言ったよね。それ多分わたしが一緒に暮らしてるジミンさんの匂い」

「JIMIN……? それってJ-HOPEと一緒の……」

うん、とわたしは目を伏せて頷く。




「わたしが小さい頃ね、お父さんとお母さんはジミンさんに殺されたの」

「え、」

「けどジミンさんはわたしを殺さなかった。わたしはオンマ達が目の前死んじゃったショックで記憶をなくしてて。ほんとについ。最近まで。わたしのほんとの名前はパク・Aじゃなくてミン・A」

「……それで、喋り方とか雰囲気違うんだ。ミンさんはパクさんよりよく喋るね」

「うん。けど正直パクAでいた期間の方が長いから今ちょっと分かりやすいように演技してるけど」

小さく笑う。テヒョンは表情を変えない。


「SUGA、って知ってる?」
「…………あぁ、聞いたことある。天才の人」

少し思案して、テヒョンは頷いた。


「わたしは、その人の姪。わたしはSUGA……ユンギの実験台」
「え……?」


ほうけるテヒョン。ほんとは自分で自分をそう呼称したくはないけれど。



「わたしの頭は……、わたしも完全に理解できてるわけじゃないけど、ユンギの研究で、簡単に言うと沢山情報の詰まったメモリの入ったPCになってる」

「それ聞いたことあるかも……。人げ……、ごめん。やっぱいい」

テヒョンは何か言いかけてやめる。
SUGAの集大成の作品とも言えるわたしが、テヒョンやジミンさんの世界で何と呼ばれてるのか。
それはもう知らなくてもいい事。

「その情報を破壊するためにJIMINが……?」



テヒョンに頷く。


「わたしから話せるわたしのことはこれくらい。あ、後わたしは」
「JIMINが好き?」

驚いた。それが露骨に顔に出ていたのかテヒョンは笑いながら「A見てたらなんとなく分かる」と笑った。

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すぴやな(プロフ) - 蛇足ですが、もしよければ安室奈美恵さんのLove Storyという曲をお聴きになってみてください。雰囲気も歌詞も、私の思うこの二人の世界にとても合っていると感じました。曲だけで見てもとても心に染みる作品です。コメント連投失礼しました....応援しています。 (2018年8月15日 16時) (レス) id: 55e82045e4 (このIDを非表示/違反報告)
すぴやな(プロフ) - 夢小説で初めて涙腺が緩みました。どちらかと言えば夢小説は苦手だったんですがしろいさんのこの作品を通して感じ方が変わったような気がします。哀しくて寂しくて暖かくて甘い、素敵なふたりの物語を見届けられて幸せです。ありがとうございます。連載お疲れ様でした。 (2018年8月15日 16時) (レス) id: 55e82045e4 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - とても良かったです! (2018年7月8日 14時) (レス) id: 4004b8cd1e (このIDを非表示/違反報告)
seajoongセジュン??(プロフ) - えっ…これは…ハッピー…エン…ド…? (2018年6月23日 12時) (レス) id: a43e5c801b (このIDを非表示/違反報告)
はる - 完結、本当にお疲れ様でした!こんなに感動するお話を読めて良かったです!!胸がドキドキしたりギュッとなったり、、、話の意味が深くていろいろ学べました!!新作も頑張ってください!!  この作品が一番好きです!! (2018年6月17日 21時) (レス) id: 877a29c23d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろい | 作成日時:2018年6月9日 11時

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