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あれは確か、2週間ほど前に行った雑誌撮影の楽屋での事…

順番待ちの為に一人、楽屋で待機していた時





「…!」





衣装に着替えた藤ヶ谷が入って来て、俺に気が付いた





「…」

「…」





俺達の間に会話はなく、お互い思い思いの場所で、思い思いの時間潰し

これが日常の風景





「あ、」

「ん?」

「それ、編集社さんから差し入れだって。」

「ふーん。」





大して興味はなかったのか、藤ヶ谷の返事は無気力そのものだったけど

チラリと箱の中身を見た藤ヶ谷の顔が、一瞬の間にキラキラと輝いた





どうやら、お気に入りのケーキだったらしい





藤ヶ谷の手が迷いなく一点に伸びていく

その時だった





「たまーっ!あれ?たまは?」





相変わらずテンション高ぇなぁ





「たまはさっきトイレ行くって…」

「マジか。次の順番、たまなんだけど!ってかこれケーキ!?めっちゃうまそーじゃんっ!」




おい、ケーキよりたまだろ…

それに、そのテンション何とかなんねーか?





「美味しそうだよね。ニカ、どれ食べたい?」





伸ばされた手が、すっと引かれる





「えーっ、どれもうまそーだよね!俺は…これかなっ。」





一瞬…藤ヶ谷が残念そうな顔をしたのは気のせいじゃない

弟達といる時に見せるちょっと無理した笑顔





「じゃあ、それはニカね。健永は?」





後から入って来た千賀にも箱の中身を見せている





「え?ガヤさん先に取りなよ。好きでしょ?」

「どれも美味しそうで迷ってんだ。先に取ってくれると嬉しい。」

「じゃぁ…これ、いい?」

「もちろん。」





藤ヶ谷の笑顔に安心した千賀が嬉しそうにケーキを手にする





「美味しそうだな〜。ってかニカ、たまは?」

「ああっ!!!たまのこと忘れてた!」





バタバタと、ケーキを手にしたまま出ていく二人

それを見送った藤ヶ谷が、くるりと俺の方へ振り向いた





.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年9月26日 14時

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