深呼吸 49回目 ページ10
「俺ラザニア!爆豪は海鮮丼か!」
「A、1口食うか?」
恒例行事になりつつあるなあ、これ。
――――――
前みたく切島と爆豪と一緒に夜ご飯を食べに食堂へ行くも、まだ俺の食欲は戻っていない。でも少しだけお腹は空いているので切島の頼んだラザニアと、爆豪の頼んだ海鮮丼を1口ずつ貰った。
部屋に戻って教師寮に行く準備をした後、爆豪だけには伝えておかなければと思い隣の部屋の扉を軽くノックする。
「ン、何だ。」
『その、教師寮の所行ってくる…一応言っておいたほう良いかなって。』
「分かった…帰ってくんのか?」
『…多分?あ、もし朝帰ってくる事になっても学校に行く時、俺の事置いて行かないでね。』
「分かってらァ。ほら早く行けよ、相澤先生待ってんじゃねえのか?」
『うん、ありがとう爆豪。じゃあ行ってくるね。』
「おう。」
エレベーターに乗り込み“1F”のボタンを押す。モーターが動く音、ワイヤーがしなる音がやけに鮮明に聞こえた。
――――――
「あらAじゃない、イレイザーに用事かしら?」
教師寮の扉を開けるとそこには私服姿のミッドナイト先生こと睡さんが居た。消太さんの事を尋ねれば部屋番号を教えてくれて、俺は急ぎ足でエレベーターに乗り込んだ。
モーターとワイヤーの音がさっきよりも鮮明に聞こえた。先ほど教えてもらった部屋の扉の前に着き、深呼吸をして軽くノックする。
「…来たか、入れ。」
捕縛武器を外しているがそれでもコスチュームを着たままの消太さんが扉から顔を出した、部屋にはコーヒーの匂いが漂っていてほんの少し懐かしい匂いが鼻を掠める。
ベッドに腰かける消太さんの隣に腰を下ろすと、思わず俺の両目からは涙がボロボロと零れ落ちた。消太さんはそんな俺を見て静かに俺の肩を抱き寄せて肩をさする。
『色んな音が一斉に聞こえて、怖かった。』
『最初は消太さんの動作の音しか聞こえなかったのに…。』
『でも段々遠くの音も耳に入ってきて、消太さんの音を見失った。』
『怖かった…聞きたくない音ばっかり聞こえてそれで…どうしたらいいか分からなくなって動けなくなった。』
途切れ途切れだったけどきちんと伝えた。でももう1つ伝えなければいけない事がある。
『俺ね、昨日工房から帰ってくる時に聞こえたんだ。“化け物”って…誰かが言ったのが聞こえて…。』
ふと隣に目を向けると、消太さんは静かに涙を零して俺と同じく膝を濡らしていた。
――――――
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐猫音。(プロフ) - 林さん» どんなふうに進んでも面白いのでやっぱり作者様が進めたいようにするべきですよね！家族愛が深いって羨ましいなあ。読んでて微笑ましくなりました。これからも頑張ってください。 (2018年10月16日 16時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 黒猫さん» 嬉しいコメント有難うございます^^いつか絶対番外編作るマンです! (2018年10月16日 3時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 家族愛でもBLでも良き(*´ω｀*) (2018年10月16日 0時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 狐猫音。さん» 貴重なご意見ありがとうございます。しかし元のストーリーは維持して進めていきたいので、他の生徒には補習があったという追加設定のまま進めさせて頂きます! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - もういっそのこと仮免終わった設定にするとかどうでしょう。更新頑張ってくださいねq(^-^q)応援します。q(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! (2018年10月15日 22時) (レス) id: cef4739b2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：林 | 作成日時：2018年10月13日 15時
