深呼吸 48回目 ページ9
「特訓始めるか。」
『…はい。』
なんでこんな時に限って。
――――――
個性特訓2日目、今日の担当は消太さんだ。今1番会いたくない人物だけれど、今はそんな事を気にしている暇は無い。
「そういえば工房には行っていなかったのか?てっきり昨日いったと思っていたが…。」
『緑谷とかも頼みに行ってたから時間かかると思って…それで後で行くことにした。』
“昨日”という単語に思わず心臓が跳ねて心拍数も跳ねる。消太さんに問い詰められるのではないかとヒヤヒヤしたが、授業中という事もあり消太さんはこれ以上詮索しては来なかった。
「特訓始めるか。」
『…はい。』
今日は心拍数を上昇させながらひたすら1対1での組手、消滅の個性は発動させないままだ。早く明に新しい眼帯を作ってもらわなきゃ、この眼帯は大分着け心地が悪くなってきている。
「制限時間は無い、このテープを巻き付けた方が勝ちだ。」
――――――
こちらに向かって走ってくる音、捕縛武器に手を伸ばす音、腰のポーチを開けてまきびしを投げようとする音、苦しそうに息切れをする音、全部全部聞こえる。
いつか心の中で思ってることも聞こえてしまうのではないかと錯覚してしまうほどに、全てが鮮明に聞こえた。
拳を振りかぶる音に俺の動きを止めようと伸ばしてくる手の音、遠くで爆豪が必殺技の試し打ちをする音、切島と上鳴がオールマイトにコスチュームの相談をする声、麗日がキャパオーバーして苦しむ音に、瓦礫が少し落ちる音。戦いと関係ない音も全て耳に入ってきてしまった。
「動き止まってんぞ。」
突然聞こえた消太さんの声にハッとして体勢を整え、そちらの音を拾おうと意識を集中させようとした直後だった。
『〜〜ｯ、しまｯた!』
消太さんの赤い目が俺の個性を捕らえ、俺の腕にはテープが巻かれた。同時に体育館γにチャイムが鳴り渡り、授業が終わった。
「途中どうした?動きが完全に止まっていたが。」
『…色んな音が周りから聞こえて…それが混ざって、先生の音を見失った。』
「課題だな、明日はそれに絞って特訓しよう。」
汗を拭いながら体育館を出て行こうとする消太さんの腕をいきなり握って引き留めれば、驚いた表情をしてこちらを振り返った。
『……。』
「…来るか?」
どこになのかなんて、聞くまでもない。俺はただただ消太さんの問いかけに頷いた。
――――――
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狐猫音。(プロフ) - 林さん» どんなふうに進んでも面白いのでやっぱり作者様が進めたいようにするべきですよね！家族愛が深いって羨ましいなあ。読んでて微笑ましくなりました。これからも頑張ってください。 (2018年10月16日 16時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 黒猫さん» 嬉しいコメント有難うございます^^いつか絶対番外編作るマンです! (2018年10月16日 3時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 家族愛でもBLでも良き(*´ω｀*) (2018年10月16日 0時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 狐猫音。さん» 貴重なご意見ありがとうございます。しかし元のストーリーは維持して進めていきたいので、他の生徒には補習があったという追加設定のまま進めさせて頂きます! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - もういっそのこと仮免終わった設定にするとかどうでしょう。更新頑張ってくださいねq(^-^q)応援します。q(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! (2018年10月15日 22時) (レス) id: cef4739b2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林 | 作成日時：2018年10月13日 15時
