深呼吸 67回目 ページ30
『…いただき!!』
「A?」
漁夫の利とはまさにこれ
――――――
『(やばいやばい結構人来ちゃってんじゃん…。)』
夜嵐が去ったと同時に現れた多数の受験者達。しかし俺が居ることに気づいていないらしく、俺はこっそりと瓦礫に隠れ身をひそめる。
アナウンスで合格者が53人くらい出たという放送が流れる。皆早すぎでしょ。
『(あれ、轟…?)』
丁度視界に轟が入ったので俺はしばらくその戦いを眺めていた。流石と言ったところか轟の個性に敵う者はおらず、皆足元を凍らされてしまったようだ。
ポンポンと手際よく合格を手にした轟。正直これは勝負としてどうなのかとも思ったが俺はヌッと瓦礫から姿を現し、身動きの取れない受験者にボールを投げつける。
『…いただき!!』
試合に勝って勝負に負けた気分だけどしかたないよね??ありがとう轟!!
「A??」
『ごめん轟の試合見てたんだよね…せこい真似してごめん。』
「いや、まあ合格できたし気にすんな。」
『そうだね…控室行こっか。』
少し騒がしい控室、キョロキョロと全体を見渡せば大声でスタンプマンについて話し込んでいる夜嵐が居た。轟はさっさと休憩しようと椅子に座ってしまった。
「あ!合格できたんスね!おめでとうっス!!」
『ありがとう、でも声大きいから抑えようね。』
「すんませんっス!」
『もうそのままで良いよ。』
無意識なのか嫌がらせなのか知らないが、夜嵐は声のボリュームを1ミリたりとも下げようとしない。もう俺の鼓膜が大変なことになっても知らないからな!
『俺、個性の関係で大きい音苦手なの。耳聞こえなくなったらお前の所為だからな。』
「…え、それは申し訳なかったっス…。」
まるで飼い主に怒られた犬のようにシュンと項垂れ声が小さくなる夜嵐、なんだやればできるじゃん。
『せめて俺と話すときはそのボリュームを心がけてね。』
「分かったっス。」
こうして仲良くなる第一歩を踏み出せた夜嵐と俺。話は個性の話へと移る、とは言っても夜嵐の個性は大体知っているので殆ど俺の個性の話だった。
『俺さっきも言ったけど個性の関係で大きい音とか苦手なんだよね、お前に助けてもらった時の強風も正直きつかった。』
「ええ…そんな事言われても、流石にそれは調整できないっスよ。」
『俺の耳が壊れてもいいの?』
「そんな脅し文句、もう効かないっスよ。」
こいつ手強いな…。
――――――
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐猫音。(プロフ) - 林さん» どんなふうに進んでも面白いのでやっぱり作者様が進めたいようにするべきですよね！家族愛が深いって羨ましいなあ。読んでて微笑ましくなりました。これからも頑張ってください。 (2018年10月16日 16時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 黒猫さん» 嬉しいコメント有難うございます^^いつか絶対番外編作るマンです! (2018年10月16日 3時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 家族愛でもBLでも良き(*´ω｀*) (2018年10月16日 0時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 狐猫音。さん» 貴重なご意見ありがとうございます。しかし元のストーリーは維持して進めていきたいので、他の生徒には補習があったという追加設定のまま進めさせて頂きます! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - もういっそのこと仮免終わった設定にするとかどうでしょう。更新頑張ってくださいねq(^-^q)応援します。q(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! (2018年10月15日 22時) (レス) id: cef4739b2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：林 | 作成日時：2018年10月13日 15時
