深呼吸 55回目 ページ17
『筋肉つけなきゃかなあ…。』
「ひょろひょろだもんな、お前。」
うるせえやい。
――――――
その日の夜、いつものようにドアが4回ノックされる。テーブルの上に置いていた時計に目をやれば21時30分を過ぎたあたりで、俺は着替えやタオルを抱えて廊下へ出た。
「風呂行こうぜ!」
そこには俺と同じようにタオルや着替えを片手に俺の事を呼びに来てくれた切島と爆豪。この2人と居ることがもう当たり前になっていた。
何時もならこの時間はそんなに風呂場に人は居ないのだが今日はやけに騒がしく、着替えを入れる籠がいくつか使われている。
「珍しいな、いつもは俺達だけなのに。」
『まあそんな時もあるよ。』
どうでも良い事を駄弁りながら黙々と風呂に入る準備を進める。そして扉を開けて浴場へと足を踏み入れば、2人程湯船に浸かってなにやら盛り上がっていた。
そんな2人を一瞥して爆豪の隣に椅子を持ってきてお湯を被り、シャンプーや洗顔を始める。ふと目の前の鏡に映った自分の腕に視線が止まる、チラリと左右に座っている爆豪と切島に目を向ければ2人の腕は俺と違って大分がっしりしていた。
『筋肉つけなきゃかなあ…。』
「ひょろひょろだもんな、お前。」
心の中で呟いたつもりが、どうやら声に出てしまっていたらしい。切島は髪を洗うことに夢中で気づいていないようだったが、爆豪は俺の呟きに気づいて返答する。
なんか嘲笑われたような気がして妙に恥ずかしくなって口を尖らすように、フンとだけ返して湯船に浸かった。次第に心拍数が自然と上がって同じ湯船に浸かっている2人の会話が聞こえてくる。
――俺、いつか女湯を覗いてやるんだ。
――峰田…お前ェはマジで男の中の男だぜ。
随分と平和な会話のようで、俺は思わず笑ってしまった。すると2人に気づかれたのかこちらへ近づいてくる。
「東屋、まさか俺達の話聞いてたのか?」
『上鳴だっけ、いやまさか…女湯を覗こうなんて話俺は聞いてないよ。』
「ばっちり聞いてんじゃねえか!」
『だって個性のせいで音拾っちゃうんだもん、しょうがないだろ。』
「…え?…てことは。」
好きで聞いてたわけではないと弁解したつもりだったが、どうやら峰田はまるで良い事を思いついたと言わんばかりに明るい表情になった。なんか嫌な予感がする。
「じゃあお前女湯の音聞こえんじゃ――」
「おいブドウ頭いい加減にしろ。」
峰田の野望は爆豪の一言で儚く散ったのであった。
――――――
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狐猫音。(プロフ) - 林さん» どんなふうに進んでも面白いのでやっぱり作者様が進めたいようにするべきですよね！家族愛が深いって羨ましいなあ。読んでて微笑ましくなりました。これからも頑張ってください。 (2018年10月16日 16時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 黒猫さん» 嬉しいコメント有難うございます^^いつか絶対番外編作るマンです! (2018年10月16日 3時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 家族愛でもBLでも良き(*´ω｀*) (2018年10月16日 0時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - 狐猫音。さん» 貴重なご意見ありがとうございます。しかし元のストーリーは維持して進めていきたいので、他の生徒には補習があったという追加設定のまま進めさせて頂きます! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - もういっそのこと仮免終わった設定にするとかどうでしょう。更新頑張ってくださいねq(^-^q)応援します。q(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! (2018年10月15日 22時) (レス) id: cef4739b2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林 | 作成日時：2018年10月13日 15時
