俺は初めて優しさを見た。 ページ23
Aside
でも、その後にでもまぁ、あのときのお前は生き急ぐ普通のガキに見えなかった。
それだけだと言われた。
初めてそう言われた。
皆に紹介されたとき、泣き出しそうで手を必死に握りしめて誤魔化したものだ。
俺は疎まれ続けていたから。
新しい、息子だと。
「その後は話を受けて、こっちの多少の事情を話して役割をもらって乗った。
俺が国に帰れない訳をオヤジは汲んでくれて、隠密部隊を決めてくれた。
元々、隠密系は得意だったしな。
海賊の首は暗殺でとってたぐらいだし。」
「…そうだったんだな。」
「おう。
オヤジには感謝してもしきれねぇ。」
オヤジと出会って話してみて初めて優しさを見た。
優しさと言うのは本で得た知識でしかなかった。それを実際に見たことはなかったし、それがどういうものなのか本質的に知らなかったんだ。
初めて、俺をそのまま見て受け入れてくれた人。
盲目だと、女だとこの船にいる皆にバレたらどうなるのか想像することすら怖い。
騙してきたんだ。
船から下ろされるだろうか。
そうなる覚悟はしているつもりだ。
そうなってもしょうがないと。
それ相応のことを俺はしているのだから。
「お前、懸賞金いくらなんだ？」
すると不意にエースが興味津々、と言った様子で俺に詰め寄ってきた。
いくらだっけな。
ここ五年間は姿すら出してないから全く知らないし……一番最後に出たのっていくらだっけ。
「５億とかそこらじゃね？」
「お前すげぇじゃん！！
ここに来る前から強かったんだな！」
「いや、この刀の力もあるしな。
こいつは特別なんだ。」
「……へー。
分かんねぇや！！」
そう言って笑うエース。
それにつられて、俺も笑った。
前は笑うことすら必死だった。
この船では笑うことは苦じゃなくなった。
それだけで充分すぎる幸せだと思っている。
だから、これでいい。
これでいいんだ。
何でだろ。
マルコと出掛けてからどこか変な気がする。
何かがつっかえて。
これ以上の幸せを望むべきじゃない。
そう思うのに。
欲が、出てきてしまうことは罪なのだろうか。もっと、幸せになりたいと。
何かが違うと。
誤魔化すように、また笑った。
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ユーリ - 一応、完結させましたけど続編も準備できしだいやりたいと思ってます！これからもよろしくお願いします！ (2020年5月6日 23時) (
レス) id: bff3cbdf0d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - う〜ん！やっぱり気になる！この先主人公さんとマルコはどんな関係になっていくんですかね…。応援してます！更新楽しみにしてます！〔にしても先が気になる(>_<)〕 (2020年4月22日 22時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - センチュリアでは化け物伝説として語られるほど主人公さん恐れられてたんですね…。少し切ないですね…。何かしらの理由があるんですよね？きっと。この先も一読者として応援してます！先が気になって気になって仕方ないです〔笑〕頑張ってください！ (2020年4月15日 22時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - めちゃくちゃ先が気になります！！というか気になる一方です！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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