隠密部隊隊長。【マルコ】 (ページ18)

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そんな資格、ない。ページ18

Aside

　

マルコと店を出た。

町は賑わっていて、すごく騒がしくて…でもそれがどこか心地よくて。

自分の町とは随分違う。

　
それから二人で町を回った。

色んな店に入って、色んな店で買い物をしたり色々して。
マルコは優しかった。

ふとした時に優しさを感じた。

　
どれもやったことがなくて、戸惑ってばかりでそんな俺を面白そうに笑って色んな店に連れていってくれた。

その中で思ってしまった。

もしかして本当は、俺は女として生きてみたかったんじゃないかって。
そんなことあってはならないことだ。

笑える冗談にもならねぇ。

ダメだ、俺は幸せになる資格なんてねぇ。

　
あの人だって望んじゃいねぇ。

あの人を殺したも同然の俺が、笑って楽しんじゃいけない。
それは、丸で呪いのようで。

絡み付いて離れない。

オヤジに拾ってもらっただけで十分だったのに。この男は、何で……。何でこんなことをするんだろう。

意味がわからない。

　
「どうかしたか？」

　
「…何でもねぇよ。」

　
「やっぱり、病み上がりでつれ回しすぎたか。お前、今顔色悪いぞい。」

　
ほら、今だって。

そんなこと言わないで。
笑えなくなっちゃうから。

　
「…気のせいだろ。」

　
マルコはそれでも気にかけた。
俺はあの日、逃げ出した。

あのままあそこにいれば俺は死ぬかと思ったから。殺されると。

　
「…いや、休憩した方がいいだろい。
あそこのベンチに座るよい。」

　
「分かった。」

　
「俺、何か飲み物買ってくるよい。
すぐ戻ってくるから待ってろい。」

　
「ああ。」

　
マルコは最後に頭を撫でた。

クシャ、と。

　
長い髪が風でなびく。

頭を撫でられたのも、初めてだったっけ。

そんなことしないでくれ。

　
嫌になってくる。