The Mystery Girl

第62話 ページ22

山田side




廃工場を飛び出して気づいた。






俺らが廃工場に向かった時は全然だったのに、






外は土砂降りの雨。






傘なんて持ってねぇし…






俺は濡れても大丈夫だけど、






何より桜苗が心配だった。






「…クッソｯｯ」






どうする事もできないから、






とりあえず俺の着てた学ランを桜苗に被せて、






病院へと急いだ。






夜の町を傘もささず、女を背中にのせて、






全力疾走しているヤンキー。






周りの人が気にしないわけもなくて、






視線をすげぇ感じる。






普段ならガンを飛ばす所だけど、






さっきよりもスピードを上げて走る。









やっとたどり着いた病院。






その頃には俺も、桜苗もびしゃびしゃ。






？「おぉ！山田〜！」






なんて呑気に声をかけてくる医者は、






俺らの先輩、増田くん。






「んなことより、桜苗見てやって。」






増田「桜苗ちゃん？」






後ろにおぶってる人の顔が学ランで見えないのか、






俺に聞いてくる。






「そう！学ランの下！」






そう言ってやっと桜苗に気づいてくれた。






増田「ストレッチャー急いで持ってきて！」






そう言う増田くんの顔は、






俺を出迎えた時の顔とは、全く違うものだった。









＿＿気づいたら俺は手術室の前に突っ立っていた。

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