ベイビーブルー (ページ23)

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酒は飲んでも… ページ23

「……ヘヘッ…それでよぉ、聞いてるかサァンズ/////？」

「ああ…お前さん、そりゃ飲み過ぎだな。」

肩をすくませるサンズ…ノリが悪いな…こんなに気持ちいい気分だってのに。

あー…ホワホワする…ヤベェ…。

「…………。」(スッ

静かに出された水のコップに、差しだされた方へ視線を辿れば困ったように目尻を下げているグリルビーが居た。

コイツの表情の変化なんか…オイラ以外に分かる奴なんて居るのだろうか。

「ああ、ありがとなグリルビー…お前さんは相変わらず優しい。」

グイッと水を煽るが、酔いはまだまだ残っているしホワホワとした思考は直らない。

ああ、もう頭の中がグチャグチャになってきた…それもこれも此処が似すぎている性なのかも知れない。

雰囲気に呑まれてしまっている…んだろう、たぶん。

「そろそろ帰るか…。」

なんて、席を降りたサンズを視界の端に捉えながら覚束ない頭の中で支払いはどうするか…という言葉が浮かんだ。

……そうだ、別に何時も通りツケれば良い事か。

カウンター越しにいるグリルビーの襟を掴みながら、勢い良く引き寄せて口端にキスをした。

ガシャーン！

ガラスの割れる音が響き渡り、辺りはシーンと静まりかえる。

それでも思考も儘ならないオイラは"何時も通り"グリルビーと会話を続ける。

「おいおい、こんなのあん時は何十回もしただろう////？…ヘヘッ…まあ、今更されてもって…ヤツか…取り敢えずツケといてくれよ、グリルビー/////」

ひらりと手を一度振ってから、オイラは深くポケットに両手を突っ込みながら外へ出た。

外の寒さに次第と酔いは消えてゆき、オイラは自分のしてしまった失態に今度は額を押さえた。

「……はぁ……何やってんだ、オイラは。」

あっちのグリルビーとはもう終わってんだろ？

それを酒のせいとは言え、こっちのグリルビーにそういう対応をしちまった…。

「……ヘヘッ…まったく、自分から別れといて未だに傷つくなんて…本当に自分勝手な奴さ、オイラは。」

吐き出した白い息が微かに震えた気がした。