ベイビーブルー (ページ15)

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一人になりたい気分… ページ15

ザクザク…

雪を踏みしてる音だけが耳に入ってくる。

ポケットに突っ込んであった手を、何度も柔く握り混んだり開いたりしながらオイラは深く息を吐いて吸い込む。

落ち着け。

冷静になれ。

感情的になるな。

殺せ。

殺すんだ、この衝動を。

「ああ、そうだ…消し去るんだ…。」

この胸を焦がすような怒りと焦りを。

「インク…やっぱりオイラはどうも苦手だ。生理的に先ず合わねぇ…それに重なっちまう。」

額に手を当てながら、ギリッと口端を噛み締める。

見える、あの決意を取り込んだ憎たらしい真っ赤な瞳が…オイラの脳裏に焼き付いて離れない…。

"ねぇ、トリエルは君にとって特別なんだろ？なら一番残虐な殺し方をしてあげなくっちゃね。"

"へー…恋人なんて居たんだ？つれないなぁ…教えてくれればもっと早く始末してやったのに…ほぉら、ね？"

"僕が憎い？良いよ、それで良いんだ…そうやって君の中は僕でいっぱいになっていく。そのうち君は僕を殺す為だけに生きるお人形になるんだ…フフ…素敵だろ。"

"僕はあの無能な弟が塵になる様を見ている時のAの顔が、一等好きなんだよね。"

「……あの…野郎っ…！！！」

ギリギリと握り締めた手からポタリと赤い液体が垂れた。

それは雪へジワリと染みを何個も作っていく。

今、こうしている間にもアッチでトリエルさん達が…アイツに何度も何度も何度も何度も…！！！

「オイラが居ても居なくても…止めたりなんてしないって…そんなの分かってるさ！！分かってるから！！！」

こんな自分が許せなくて仕方ないんだろう！！！

ああ…クソッ！！

「…………クソッ…！！！」

ガン！

思いっきりオイラは自分の頬を殴り付けた、雪にまた赤い染みがつく。

「……ハァー…少し、落ち着いたな。」

ズキズキとする痛みに、オイラは我に返っていく。

そうだ、思考を呑まれるな。

そうしたらアイツの思惑通りになっちまう。

「……ヘヘッ……もうちょっと歩いてから三人の所に戻るか。」

言い訳を考える必要もあるしな。