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第三十六話:深紅の闇。 ページ40

生まれて初めて見た景色は、深紅の「世界」だった。

それが、とても綺麗で、だけど、どこか切なくて、虚しくて。

それでも、この「世界」は、唯一、私を認めてくれる、優しい存在だった。

善も、悪も、愛も、罪も、教えてくれる者など居なかった。

それでも、この「世界」は、私に、生きる術を教えてくれた。

どこからか現れた、小さな私がやっと扱える、重たい剣。

この剣を「侵入者」にふるって、私の「世界」を深紅に保ち続けた。

これが罪だなんて知らなかったし、そもそも、罪という言葉を知らなかった。

「侵入者」は皆、私の振るう剣によって、深紅の華になっていった。

これが死だなんて知らなかったし、やっぱり、死という言葉を知らなかった。

今思えば、あの頃の私は、殺戮を求め続けていた、狂気の塊だった。

今思い返しても、それはどうにもならないことで。

自分でも気付かない内に、深紅の闇に、深く、深く、はまっていた。

だから、私を闇から救った、「世界」から解き放った、菊兄に、憧れた。

もしかしたら、これを恋とは言わないのかもしれないけれど。

それでも、ただただ、憧れたし、感謝し続けた。

だから、少しでも迷惑をかけないように、菊兄の上司の言うことを聞いた。

操り人形として扱われても、構わないと思った。

今は敵対していても、イヴァンにも、にーににも、ずっと、迷惑をかけ続けた。

結局、菊兄について来てしまったけれど、やっぱり、感謝している。

伝える手段は知らないけど。

だから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


いつか、皆に、「ありがとう。」って言いたい。

戦争が終わっても、消えたくない。

菊兄の傍でなくても、いい。

ただ、感謝の言葉を、伝えられれば。

だから。どうか。神様、お願いです。

たった一つの願いを、叶えてください。

多すぎる罪は、簡単には償えなくても。

国じゃなくていい。

私は、生きたい。

人形でもいい。

まだ、壊れたくない。

だから。

どうか、この願いを。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
――――――――――――叶えて、ください。

第三十七話:誤解。→←第三十五話:女子寮内。


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設定タグ:ヘタリア , 満州 , ローザ   
作品ジャンル:アニメ
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ローザ(プロフ) - 花さん» 私もこれを書こうと思ったきっかけは歴史の授業の満州事変ですw (2012年11月29日 19時) (レス) id: 1d6219482d (このIDを非表示/違反報告)
ローザ(プロフ) - 花さん» あー…、かもですね…。連載中の時も日中関係がいざこざしてたりはしたんですが、最近ほどではなく…。もう完結している作品とは言え、一応気を付けた方が良いですね。ご忠告ありがとうございます・ (2012年11月28日 19時) (レス) id: 1d6219482d (このIDを非表示/違反報告)
ローザ(プロフ) - サクッチさん» 明後日。 (2012年8月30日 14時) (レス) id: 1d6219482d (このIDを非表示/違反報告)
サクッチ - wwローちゃんの学校は何日からなの? (2012年8月30日 14時) (レス) id: 539d022086 (このIDを非表示/違反報告)
ローザ(プロフ) - サクッチさん» …ま、そういうことだww 全力で同意しようwww (2012年8月29日 19時) (レス) id: 1d6219482d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百合音/ローザ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/roza/  
作成日時:2012年1月29日 12時

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