庭の金魚の波紋のその先 (ページ6)

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俺がさっきまでいた部屋に、拾ってくれた女の子と樹。それから、学校で樹と一緒に居るところを何度か見かけたことのある男子2人。それから会ったことあるような、無いような男子1人。
なんなのだろう……。女の子との関係性が全く見えない…。

「えっと、まずは私達の説明をしなきゃ、ですね。ここは霞野組と言うまぁ、いわゆる極道の世界、です。と言っても、悪いことをしているんじゃなくて、警察が入れない事件に関わって警察が入りやすいようにしたりしてるって聞いてます。貴臣さんって言う優しいおにーさんがトップで、4年前。ずっと一人ぼっちだった私を拾ってくれた人なんです」

　そう説明する女の子は、とても優しい顔をしていて嘘偽りを感じなかった。

「あ、ごめんなさい。名前を言ってませんでした。私は霞野 Aです。よろしくお願いします」

　そう言ってニコリと笑った顔に、なぜか無性に心臓が痛くなった。

「まさかAが北斗を拾ってくるとは思わなかった。俺の親父がこの組織の幹部ってやつなんだ。だから、小さい頃からAと一緒に居る」

　ビックリした。樹も俺も家の事を全く話さないから、当たり前っちゃあ当たり前だけど、そうか、樹のお父さんはこの家に関わってるのか。

「お前の口から、霞野さんのこと聞いたこと無かったからビックリした」
「え？そうか？休み時間とか、ちょくちょく会ってるよなー？」
「えぇ？でも、お前の休み時間……。あぁ…。いつも色んな女の子に囲まれてるから、分からないのも当然か…」

　しょうがないよね、存在自体が爆モテだからさ。なんてふざけている樹は放っておこうと言う判断か、ハーフみたいな男子が自己紹介を進めた。

「オレはジェシー！オレも樹と一緒で、オフクロが貴臣さんにお世話になってるから、Aちゃんと遊んでる！同じクラスだしね！」
「……俺は、慎太郎。森本慎太郎。4年生。あのさ、俺もAちゃんとほぼ一緒で拾われた身なの。だから貴臣さんが大切で、そんな貴臣さんが大切にしてるAちゃんが大事なの。だから、噂の真相をハッキリさせたい」

　どうやら、この場にいる霞野さん以外の人の本題はそこらしい。慎太郎くんがその話題に触れた瞬間、場の空気が強ばった。
まぁ、どうやら皆、自分自身にしろ親にしろ、この家に恩義を感じ、この娘を大切にすることで忠義を果たしている、と。なるほど。
郷に入っては郷に従え、俺も恩義を感じた相手に忠義を尽くそう。