庭の金魚の波紋のその先 (ページ27)

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それから、北斗と樹が登校したのは2限の途中だと風の噂、あと3限体育に向かう慎太郎から聞いた。昼は久々に皆で食べたいね、なんて話せば笑顔で頷き、皆に声を掛けるよ～！とこれまた笑顔でグランドに向かった。
　しかし、その間も謎の視線は尽きなかった。あの慎太郎が壁になってくれたのに感じるほどの視線…。私に相当な恨みでもあるな……。

　そしてとうとう、昼休みに事態は動いた。
　みんなが待つ食堂に向かう途中、大人しそうな眼鏡の女の子が話かけてきた。ネクタイの色から後輩か。

「霞野先輩、少しだけお時間よろしいですか？」

　大人しくついて行けば、食堂とは真反対の空き教室。その中に入れば、ショートカットの女の子がグスグスと泣いていた。あ、この子。この前、中庭で北斗に告白してた…。
　そこで去年を思い出す。去年、入学してから『あの鉄壁の黒王子・松村北斗がただ一人の女の子にご執心』なんて噂が立った頃。同級生、先輩方から質問攻めにあったり、こうして呼び出しを食らい『アンタ何様よ！』と言うなんともベタな展開も既に経験済みだ。しかし、夏休み前にはそれも収束していたし、なぜだか私たちを応援する団体まで出来てしまった。
　おかげで付き合ってもいないのに、ベストカップルだなんだと囃し立てられる。まぁ、あまり悪い気はしないけど。

「単刀直入に言わせていただきます！」

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