庭の金魚の波紋のその先 (ページ3)

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「A！もう、遅いよ！しんぱい、って、え？！」
「ごめん、樹。お風呂の用意ってされてる？」
「うん、さっき髙地がしてた、けど…。え？なんで、北斗いんの？」
「あとで説明するから、とりあえずお風呂に案内してあげて」

　混乱に憔悴にと様々な感情でさっきよりも顔が落ち込んでいるおにーさん。そんな様子に、顔見知りらしいうるさい田中樹も、さすがに口を噤んでいた。

　幸い、傘をさしていた私は濡れている箇所が少ないため自室でサッサッと軽く拭いて終わった。
小学生と言えども、私立校であるため制服がある。公立校の私服登校に一時期憧れていた時があったが、毎日の服選びは面倒くさいと言う話を聞き、一瞬にして憧れは無くなった。
そんな制服を丁寧に脱いでいるときに、ドアのノック音。はい、と返事をすれば遠慮なく開かれるドア。

「A、ちょっといまうわっ！着替えてんなら返事すんな！」

そう言ってバンッと乱暴にドアをしめるのは髙地優吾。
今度はこちらからドアを開けることに。

「別にジャケット脱いだだけじゃん。ところで、なに？なんか用？」
「いや、ジャケット脱いだだけって、おま、……はぁ、もう良いや。で、さっきお前が人をひろって」
「「A！人拾ったってほんと？！」」

　髙地が喋っているのをぶった斬るほどの2つの足音と2つの声。

「ジェシー、慎太郎…」