異世界の魔法使い 2 (ページ9)

今日:50 hit、昨日:205 hit、合計:37,109 hit

第45話ページ9

とりあえずビンは寮に戻ってから開けるべきだったなと思いました。

それから翌日

「あ、課題があったんだった……」

ランスとの戦闘の後、シオンが自室で休んでいると課題が出されていたのを思い出す。

その課題の内容はマンドラゴで魔法薬を作るというもの。

シオンはいそいそと準備をし、課題を終わらせるため部屋を出て厨房を急いでいると………

「あ………」

ラ「………………」

「ら、ランスくん」

ちょうど曲がり角でランスと遭遇し思わずシオンは立ち止まってしまう。

一方、ランスはじっと彼女を見つめていた。

「う………あ、あの…………」

ラ「名前………」

「え？」

ラ「名前は確か、シオンと言ったな」

「うん……そう、だけど………」

ラ「シオン、色々と……悪かった」

「！！？」

ランスに名前の確認をされたかと思えば、頭を下げて謝罪されてシオンは驚いて目を丸くした。

「どうしたの……急に………」

ラ「いや………マッシュと戦った後に思い返していたんだ、シオンと会った時のことを。俺はアンナの事があるからと最初からお前にあたりがキツかった」

「アンナ？」

ラ「俺の妹だ」

(ああ、あの写真の)

聞き覚えのない名前に、ランスが持っていたペンダントに映る笑顔が可愛らしい少女を思い浮かべるシオン。
そんな事を彼女が考えているとは知らず、ランスは話を続ける。

ラ「シオンと初めて会った時、ずっと俺の事を見て怖がっていただろ？あの時も俺は試験に合格する事しか考えていなかった………だから俺に縋ろうとしたシオンに苛ついていたんだ」

「それは……そう、だよ…………誰だって、真剣に合格しようと思って試験に挑んでいるのに他の人の事まで考えられないよ」

(でも………マッシュくんは、レモンちゃんを助けたって言ってたな………)

ランスの言葉に自分がした事とは言え、確かに彼が怒るのも無理はない行動をしていると改めて理解した。

だが、それでもマッシュはそういう状況でさえ人を助けるあたり本当に良い人なんだと彼の顔を思い浮かべながらそう思う。

ラ「シオン…………」

「私はもう大丈夫………心配してくれてありがとう」

ラ「っ……ぐは！！」

「ひっ！！？」

ランスが不器用ながら優しい人物だと理解すると、自然と笑みを浮かべたシオン。

その笑顔を見たランスはというと、力強く胸元を押さえて吐血したのでシオンは悲鳴をあげて怖がった。