異世界の魔法使い 2 (ページ12)

今日:197 hit、昨日:275 hit、合計:37,051 hit

第48話ページ12

ランスから逃れたシオンはフィンの腰あたりに抱きつきガタガタと震え、急に抱きつかれたフィンは顔を真っ赤にし体を硬直させながら困惑していた。

マ「…………やりすぎましたな」

フ「た、助けてー！」

ーアドラ寮厨房ー

ラ「今回の課題で使うのはこいつだ」

(あれ、怪我治ってる………)

フ(さっきの茶番は一体…………)

場所はアドラ寮内にある厨房に移り、ランスとマッシュは先程の出来事がなかったように課題の準備に取りかかっていた。

そのやり取りをフィンとシオンは呆然と立ち尽くしながら眺めている。

すると、ランスが何かを掴んで持ち上げた。

ラ「マンドラゴラだ」

マ「イア〜〜〜〜〜〜！！！」

「！！？」

ランスが持っているマンドラゴラは大根のような形をしており、リアルな顔で野太い奇声を上げていた。

ツイステッドワンダーランドにもマンドラゴラは存在するが、一回り小さくもっと可愛らしい感じなので驚き思わずマッシュの後ろに隠れる。

ヒュッ！

マ「わ！シオンちゃん、どうしたの？」

「あれ……マンドラゴラなの？」

マ「僕も初めて見た」

フ「え？本にも載ってるタイプのマンドラゴラだよ？」

ラ「こいつを泣き止ませれば万能に使える魔法薬の素材になる」

「薬になるの……？」

マ「あーまた魔法を使うやつか」

フ「また！？いやここそういう学校だけど！？」

異世界のマンドラゴラを目にし、まだビビっているシオンの隣でマッシュがそう言うとフィンは驚いて突っ込んだ。

すると、ランスは杖を構える。

スッ………

ラ「まずはオレが手本を見せる」

“クワイエントス”

ポワッ！

マン「アアアア！！！アアア………アア…………………ZZZZZZZZZ」

「あ、寝ちゃった………」

ランスが未だに奇声をあげるマンドラゴラに、杖を振って呪文を唱えると厨房いっぱいに響いていた声が次第に小さくなり、しばらくするとマンドラゴラは深い眠りについたのかピタリと動かなくなってしまった。

ラ「やってみろ」

フ「よ、よし……“クワイエントス”」

マン「アアアアアア！！！」

フ「“クワイエントス”」

マン「アアアアアア！！！」

フ「ダメだ………全然泣き止まない………」

(私できるかな…)

何度も杖を振り、呪文を唱えるもマンドラゴラはずっと叫び続け落ち込むフィンを見てはシオンが不安がっているとマッシュが動き出した。

マ「フィンくん、重心が安定していないよ。体幹が弱いね……」

(体幹？)