真紅の暴君 70 ー暴君の過去ー ページ22
「…………?ここどこだ?」
一瞬の光に包まれ閉じていた瞼を開くとそこは何もない真っ暗な空間だった。
Aはただ1人、その空間の中にいて周りを見渡しても誰おらず永遠の闇が続いている。
「もしや……これが噂のドッキリ」
パッ!
「!」
誰もいない暗闇の中、Aが呟くと急に1つの光る玉が現れそれは徐々に人の姿に変わって……色のないリドルになった。
「リドル先輩?」
リ「……………」
“ボクは、ずっと”
“真っ赤な苺のタルトが”
“食べてみたかった”
「お、なんだ声が聞こえてきた(……ハッ!これが俗にいう“コイツ、脳内に直接!”的な奴だな!)」
虚ろな瞳で立つリドルの口は空いていないにも関わらず、脳内に語るように聞こえてくるリドルの声にAは呑気にそう思う。
“たまに通りかかるケーキ屋さんの”
“ショーウィンドウに飾ってある”
“宝石みたいなタルト”
それからリドルは昔の自分を語っていった。
母親による分刻みの学習がある生活。
唯一自由を与えられたのは自習時間である1時間のみ。
聞いているAですら窮屈な気分になるその生活はリドルにとっては当たり前の事。
そんな日々を過ごしていたある日、彼に素敵な出会いがあった。
“俺はチェーニャ!こっちはトレイ、一緒にクロッケーしようよ”
“え…無理だよ、今は自習時間なんだ。勉強しなきゃ”
“自習って、なにを勉強するか自分で決めていいがね。遊ぶの勉強ってじーちゃんが言ってたにゃあ”
“少しだけ、降りてこない?”
“………………ちょ、ちょっとだけなら”
“君の名前、聞いていい?”
“リ、リドル。リドル・ローズハート”
(青春だな)
その日から、リドルの自習時間は3人で過ごす時間となり閉鎖的な空間で生きてきたリドルにとっては摩訶不思議で楽しい時間に変わっていった。
トレイの家がケーキ屋ということもあり、初めて食べた苺タルトを味わったのもこの時間である。
だが、平和な時は長くは続かなかった。
“なんてこと!自習をサボッただけでなく外で砂糖の塊を食べてくるなんて!”
リドルは1時間という時間をつい忘れてしまい、慌てて家に戻るも母親に全てバレてしまったのだ。
“あの2人がリドルを唆したのね、あんな悪い子たちと2度と一緒に遊ぶことは許しません!”
“ごめんなさい、お母様!もうしないから許して…!”
“お黙り!お前がルールを破るからいけないのよ。ああ、やっぱり自由時間なんて持たせるんじゃなかった”
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るーるる(プロフ) - 絵さん» 絵さんこんにちは!確かに名前間違ってましたね(;´д`)ご指摘ありがとうございます!! (2021年11月7日 17時) (レス) id: a237b45332 (このIDを非表示/違反報告)
絵 - 真紅の暴君56のクロウリーのセリフでグリムくんがグリルくんになっていると思います (2021年11月6日 20時) (レス) @page8 id: a4d316c6c5 (このIDを非表示/違反報告)
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