美貌の圧制者 191 ページ10
「あ、勘違いしないでほしいのが君が主人公を目指すのをやめろと言ったわけじゃないよ？主人公はその名前の通り、物語の花。誰だって憧れる存在さ」
ヴィ「……………………………」
「でもね、悪役だって主人公に変わることだって出来る。きっとね」
ヴィ「アンタ………一体何者？」
「だから言ってるじゃないか、僕は餌をくれない人間にたかる鳩山鳩郎って」
ジャ「言ってなかっだろ！しかも何か邪悪になってるじゃねえか！！何なんだお前！！？」
「うるさいぞジャク助！」
ジャ「な！？なんで俺の名前……って誰がジャク助だ！！」
冷静に鳩を見るヴィルと違い、ジャックは目を見開いて鳩に指をさしながら突っ込む。
そんなジャックと鳩のやり取りを見てヴィルはぷっと吹き出した。
ヴィ「あはは！何変なやり取りしてるのよ、アンタ達。本当、バカみたい！」
「ジャク助、バカだってよ」
ジャ「俺だけじゃねえよ！てかどっちかってーとお前のその格好の方がよっぽどバカじゃねえか！！どうせ着ぐるみだろソレ！！」
「むむ、近所のじいさんが鳩に餌をやる時間だ。ではここらてさらば！！」
ダッ！
ジャ「あ！おい！！…………行っちまった、なんだったんだアレ……？」
ボソッ
ヴィ「悪役だって主人公になれる…ね。ふふ、なら頑張るしかないじゃない」
ジャ「何か言ったか？」
ヴィ「ううん、なんでもない」
この日、ヴィルの顔は今までに見ないくらい子供らしくそして美しかったという。
ル「ヴィル……ああ、美しき人。どうか目覚めておくれ……」
パチ
ガバッ！
「しゃらあああ！！」
エ「うわっ！？びっくりした！！起きたのお前かよ！？」
「あん？」
ルークの悲しげな声に反応したAは勢いよく体を起こすと、エースが凄く驚いて体を傾けていた。
すると、賑やかな声にヴィルもゆっくりと瞳を開く。
ヴィ「…………う…………アタシ、どうして…………？」
ル「ヴィル！よかった。瞳にいつもの輝きが戻ったね」
カ「ほんとによかった……グスッ、ううっ、ヴィル〜心配させやがって……」
「泣いてんじゃねえよ！！」
エ「お前はキレてんじゃねえよ」
ジ「だが、Aの言うことも一理ある。なんでお前が泣いてるんだ、カリム」
デュ「よかった……打ちどころが悪かったらどうしようかと」
ぴ「げんき〜？」
グ「どう見ても元気じゃねえんだゾ」
ヴィ「……とんでもない醜態を、晒してしまったようね。癇癪を起こして他人に当たり散らすなんて」
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