美貌の圧制者 190 ページ9
子「「「バケモノーーーー！！！」」」
バタバタバタ！！
迫りくる巨大な鳩(？)に子供達は絶叫をあげ、涙も鼻水も垂れ流しその場から走り去っていく。
残されたヴィルとジャックはその光景に唖然とし、その場に立ち尽くすと鳩が2人の方をグルッと向いたので警戒心の強いジャックはヴィルを庇うように立って鳩を睨みつける。
ジャ「な、なんだお前！？」
「クルッポー、鳩山鳩郎です」
ヴィジャ「「喋った！！？」」
「僕は街の安全を守り時に人からパンを貰ったり取ったり追いかけ回したりつついたり貰ったりして日々過ごしたりしてます」
ジャ「今パン取ったりって言ったな！？てか全然街守ってねえじゃねえか！！」
「うるさい！貴様のような小僧に私の何がわかる！？弱者は黙ってそこで指くわえて立っときな！！！」
ジャ「おい！キャラブレブレじゃねえか！！誰が弱者だ！！」
ヴィ「本当よ……どこのテレビ局のドッキリ番組？アタシ、こんなのに騙される程チョロくないわ」
「君は大人だね」
ヴィ「！急になんなの？アタシが子供らしくないっていうの？」
「ううん、そんなに無理にキャラ作らなくてもいいんじゃないかな？」
ヴィ「っ………何も知らないのに余計な事いわないで！！」
Aの発言に思う部分があったのか、今までのすました顔をしていたヴィルがその整った眉を寄せて怒鳴った。
普段の姿から想像できないその姿にジャックは驚いた顔をしてヴィルを見る。
ヴィ「アタシは……アタシは悪役じゃなくて主人公に！ずっと舞台に立っていたいの！！悪役は最後まで立っていられない………なのに、いつも選ばれるのはネージュ！アタシとネージュに何の違いがあるの！？いつもいつもレッスンだってケアだって頑張ってやってきたのに！この世界が実力主義なのはわかってる！でも…………でも！！」
「悪役だっていいじゃない」
ヴィ「え………」
「悪役の何が悪いのさ」
ヴィ「だって………悪役は主人公と違って周りに批判されるし嫌なことばかり言われて……最後までそこにいる事はできない……スポットライトを浴びる事は許されない………から……」
「確かに悪役は悪いものって言われるし、実際そうなのかもしれない。でも、主人公だけじゃ物語は輝けない」
ヴィ「！」
「いいかい？悪役だって主人公と立場が違うだけでその物語を輝かせる大切な役なのさ。だってそうだろう？主人公がただ平和にハッピーエンドを目指す物語に何の魅力がある？」
ヴィ「！」
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