美貌の圧制者 200 ページ19
ジ「本番直前に、どうして急に？」
グ「いくらなんでも、オメーがヴィルの代わりをするのは難しいんじゃねーか？」
「じゃあ、エペルの代わりは僕がやる」
エ「なんでだよ」
エペ「だってヴィルサン、立ってるのもやっとじゃないか！絶対優勝するって言ったけど、もし、もし舞台の上で身体に限界がきたりしたら……。俺、あんたが観客の前で無様を晒すところなんか見たくない！」
ヴィ「エペル……」
ル「ムシュー・姫林檎……」
拳を握りしめ、今まで見ないくらい真剣な表情でそういうエペルにヴィルもルークも目を丸くする。
エペ「俺はあんたとの約束を守って、入学した頃よりずっと愛らしく、強くなった。甘くてかわいいだけじゃない、立派な毒林檎になれたでしょ？俺がネージュを仕留めます。だから……！」
ヴィ「……ふっ。言うようになったわね。でも、心配は無用よ。スポットライトがアタシを照らしているのなら、たとえ頭上から大岩が落ちてきたって舞台を降りはしない。最後の瞬間まで、勝利を信じて足掻き続ける。それが、
タッタッタ！
ピカァアアア！！
エ「まぶし！？」
グ「ふぎゃ！いきなり何するんだゾ！！」
「スポットライトいるかなって思って」
ジ「どこから持ってきた？」
どこからかスポットライトを出してきてヴィルに当てるAに突っ込み、ジャミルがスポットライトを没収しているとエペルが口を開いた。
エペ「…………わかりました。ヴィルサンが、そう決めたなら……」
ヴィ「……ふん。第一、他人の心配なんかしてる余裕あるの？エペル。アンタ、人前に出ると途端にミスが増えるんだから。大事なオーディション、サビでミスったのをお忘れ？」
エペ「なっ！い、今そんな話しなくたっていいじゃないですか！」
ヴィ「このアタシにセンターを譲れとまで言ったのよ。キッチリ観客のハートを仕留めてちょうだい、毒林檎ちゃん」
エペ「……はい！」
「もしもの時は僕がやるぞ、エペル」
エペ「え？」
ヴィ「一生ないから安心なさい」
タッタッタッ！
ス「ナイトレイブンカレッジのみなさん、まもなく出番です。スタンバイよろしくお願いします！」
そんなやり取りをしていると、1人のスタッフが小走りでA達の所までそう告げた。
伝え終わると再び、作業をしに戻っていく。
ヴィ「……ついにこの時がきたわ」
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