美貌の圧制者 193 ページ12
ヴィルは呻き、片足をついてしまう。
それを目の前で見ていたルークは慌てて駆け寄った。
だが、ヴィルは差し出された手を緩く止める。
ヴィ「少しよろけただけでしょう。情けない声出さないで」
ル「あれだけのダメージを負ったんだ。どうか無理はしないで、私の肩に身を預けておくれ」
「じゃあ僕足持ちまーす」
ヴィ「お願いだから近寄らないで」
バッサリと拒絶されても別に悲しんでいないAは「はいはーい」と軽い返事をする。
エ「そういえば。ヴィル先輩を最後にぶっ飛ばしたデュースの魔法……あれ、なんだったわけ？」
「デュースが日頃の鬱憤を晴らすために気合と魔力を入り混ぜた魔法」
エ「マジかよ………」
デュ「違う！全然違う！！余計な事言うな！そして引くな！！」
グ「たしかに、エースの言うとおりあの強烈な一撃、スゴかったんだゾ！デュース。オメー、いつのまにあんなスゲー魔法覚えたんだ？」
デュ「いや、あれほど威力が出たのは、僕じゃなくてシェーンハイト先輩のおかげだ」
カ「どういうことだ？」
デュ「あの魔法は、相手からくらったダメージを僕の身体に溜めて、そのまま相手にブッ込むものなんです。つまりシェーンハイト先輩が僕にくらわせた魔法が強かったから、あれだけの威力が出た」
エ「なんじゃそりゃ！喧嘩の礼参りかよ！？」
ぴ「おれーまいりってなに？」
エ「え？えっと……ジャミル先輩パス！」
ジ「パスするな。ぴぃ助、後でAから聞け」
ぴ「はーい」
デュ「物騒な言い方するな！エペルとユウと、海に行って絡まれた時に初めて使えたんだ。その時は、攻撃を耐えてるうちについうっかり出ちまったって感じだったんだが……」
ジ「はぁ……うっかりで一般人を魔法で攻撃するな。ことによっては停学モノだぞ」
デュ「うっ、す、すんません」
「首をはねてしまうよ！(リドル声真似)」
デュ「そ、それだけは！！」
エペ「ええ！？今のAが言ったべか！？リドルサンそっくり！！」
ジ「ああもう！話が進まない！！」
ベタァァ！！
「………………………」
何かと話題を変えようとするAに我慢の限界がきたジャミルは容赦なく彼女の口元にガムテープを貼る。
貼られたAは抵抗する事なく、急に大人しくなりその場で体育座りをしたのでジャミルは視線を彼女からデュースに移した。
デュ「えっと……あ、そうそう。あれから何度やってみようとしても、全然使えなくてさっきシェーンハイト先輩に本気で」
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