歪みの国の少年少女 14 (ページ45)

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美貌の圧制者 178 ページ45

捕まり彼の方へ引き寄せられるA。
そんな彼女を見てエペルは驚き、ジャミルは頭を抱えて嘆くが本人はいつも通りだ。

ヴィ「あら、こんな時でも表情を変えないのね。もしかしてそう言う演技でもしているのかしら？」

「ヴィル先輩、僕が演技してるように見えます？」

ヴィ「見えないわね………でも、貴女の絶望に歪んだ醜い顔を見てみたくなったわ」

「趣味悪」

ヴィ「初めて中庭で話した時からずっと思っていた……貴女のそのいつも余裕にしていて何を考えているかわからない態度を崩してみたいって………本当の貴女を見てみたいってね！！」

グ「Aーー！！？」

グワッ！！

ヴィルは美しい顔を歪ませて、Aに向かって黒い墨に包まれた腕を伸ばす。
さすがの至近距離に誰もが避けるのは不可能だと思い、グリムは彼女の名前を呼ぶ。

そんな事を思っている間にもヴィルの拳がAの顔に当たりそうになった

その時

「せい！」

ゲシッ！！

ヴィ「ぐあっ！？」

ル「な！？Aくんがヴィルの顎を！」

エペ「蹴り飛ばしたぁあ！！？」

ルークとエペルが言うようにヴィルの拳が直撃する寸前、Aは右足を綺麗に垂直にあげて彼の顎を蹴り飛ばした。

ヴィルは突然、顎を狙って蹴られるとは思っておらず直撃して体を反らしAから手を離してまう。

Aはチャンスだ、と言わんばかりにヴィルから離れて見事な1回転を披露した後綺麗に地面に着地した。

「見たか！バレエで鍛えた顎蹴りを！！」

エペ「まさかのバレエがこんな所で生かされた！！？」

ル「マーベラス！身に着けたダンスの技術を様々な場面で使いこなせるなんてAくん、ボーテ！！」

ジ「………いや、そんな事言っている場合じゃない！なんでよりによって顔に傷をつけるような事をするんだ！？そんな事したら………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ！！

ヴィ「よくも……よくもぉ……アタシの顔に傷をつけてくれたわねぇえ！！絶対に許さないから！！」

「わあ、めっちゃ怒っとる」

ジ「ほら見ろ！また魔力が上がったうえにこっちの危険度だって上がったじゃないか！！くそっ！どいつもこいつも勝手な事ばかりしやがって！！」

ル「一度落ち着いて、ムシュー・マルチ」

ジ「何を呑気な！落ち着いている暇なんてないでしょ！！」

ル「君の気持ちはわかるさ。ただ、悪いことばかりではない……確かに今のヴィルに近づくことは危険さ。でも、こちらにも勝機はある」

エペ「ルークサン？」