美貌の圧制者 106 ページ19
ル「殻を破るためにくちばしの先端に硬く尖った卵歯という角のようなものを持っているんだ。だが雛が持つ鋭い卵歯は、成長するにつれ失われてしまう。つまり、私がなにを言いたいかと言うと………」
「殻は全力で突破れ、後の事は知らん……ですね」
ル「違うね。キミたちにも、
デュ「今の僕にしかない、強さって………うぅん………」
「大釜」
デュ「うるさい…………………ダメだ、いくら考えても少し足が速いことくらいしか思い付かない。頭も、要領もよくない。僕のいいところなんて…………」
「16年間、売られてる卵からヒヨコが産まれると信じ続けてきた素直な心の」
ガバッ
デュ「うるさい！！」
カ「ん？ヒヨコがどうした？」
デュ「なんでもありません！！」
カ「そうか？……なあ、デュース。話を戻すけどお前、そうやって頭でいろいろ考えちまうから良くないんじゃないか？」
デュ「え？」
顔を真っ赤にして、Aの口を塞ぐデュースにカリムは真顔でそう言った。
カ「自分が馬鹿ってわかってるのに、なんでわざわざ脳みそ使って答えを出そうとするんだよ。お前を見てると、利き手と逆の手で字をかいて「オレはなんて字が下手なんだ〜！！」って叫んでいるように見える。苦手ってわかりきってることをして、ダメな結果を自分に突きつけて落ち込んでるっていうか。そんなんじゃ、自分の良いとこなんか見えてこないだろ」
ル「フフフ、カリムくん。キミの瞳はいつも雨上がりの空気のように澄んでいるね、その真っ直ぐさ、その無垢なる輝き、まさしくそれはキミの強さだ。
カ「ん？オレ今、褒められてるか？サンキュー、ルーク！」
「そのままあがっちまいな！！」
グ「どんだけカリムが目立つのが嫌なんだゾ」
ル「カリムくんの言うとおりさ、デュースくん。キミの強さは、きっと“頭をつかうこと”ではないんだ」
グ「確かに、デュースがうんうん考えたアイデアってたいていろくな結果にならねぇんだゾ。エースを投げつけてオレ様を捕まえようとして10億マドルのシャンデリアぶっこわすとか」
デュ「た、頼む。その話はもうやめてくれ」
「「なんでもない日」のパーティにウサギの着ぐるみを着て、暴れてケーキ食べたりとか」
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