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百三十一話 ページ39

貴)「はぁー!美味しかった」

西)「喜んでもらえて良かったわ」

ジェラートを食べ終わったわたしはスペインに手をひかれるがまま次の目的地へと向かっていた。

貴)「で、次はどこに行くの?」

西)「ついたらわかるで!」

歩きながらいろんな話をした。

スペインが小さい頃の話。

私が眠っている時の話。

あとはロマが可愛いという話。

あーだこーだと話すスペインの顔はなんだか子供みたいで、思わず笑いがこぼれた。

貴)「スペイン子供みたい」

西)「えぇー!?俺Aよりごっつ歳上なんやけど!?」

貴)「ほらその顔も」

プクーっと頬を膨らますのも子供そっくりだ。

西)「あ、そろそろつくで!」

貴)「目的地?」

西)「せやせや!!」

スペインの歩きが早くなる。どんどん進むにつれて聞こえてくるこの音は…波?


木々の間を抜けて出た先は海岸だった。

夕日が沈みかけていて、水面がキラキラと輝いている。

柄にもなく、ロマンチックだななんて思ってしまう。



宝箱の中にずっと残っているキラキラした思い出。


スペインに告白したあの時


身体中が熱かった

喉がとてつもなく乾いていた

手がちょっと震えた

好きの気持ちを伝えるのに心臓が壊れるかと思うくらいに鳴った

怖かった

国である私が愛してもいいのかということが

いや……

国である私が人を愛して、後で傷ついてしまうかもしれないことが

フランスに一度聞いたことがある

「人を愛して、辛くないの?」

私達は気持ちに関係なく立場を変えなければならない。

兄さんのことでそれは身を持って体験したわけで

人を愛せば

その分その人に拳銃を向けることになったとき辛くなるのだということを知っていたから。

だからこそ愛の国を名乗るこの男が気になった。

フランスは少しの間真剣な表情になったもののすぐにいつもの笑顔に変わった。

「俺も伊達に長生きしてきたわけじゃないからさ、愛することが辛くなった時期なんてザラにあるよ」

初恋の女の子がいてね

そのこは俺のためにすっごい頑張って戦ってくれたんだ

でも結局俺はその子を見捨てた

結果その子は火刑で死んでしまった

その時のことは今でも悪夢に出てくるし

俺自身、その時の自分を何度も否定した

でも

「その子を愛していた事実までは否定しきれなかったよ」

フランスはそう言うと私の頭を優しくなでてから夕食を作りに行った。
あの時私は初めて

彼があそこまで愛を大切にする理由がわかった気がした。

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ミーヒュン - 読み終わった時の脱力感が凄いですwできれば結婚式のお話しも見てみたいです!無理言ってすいません…でもとっても面白かったです! (2018年1月5日 13時) (レス) id: b9f8ebbe78 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 夜な夜なこのお話を見つけ、寝ることも忘れ一気に読んでしまいました…。なんというか、「愛って素晴らしいなぁ…」と思いました(笑)これは普通の話としても本当に素晴らしいと思いました!!こんな素敵なお話をありがとうございました!><*  長文失礼しました!! (2016年7月23日 1時) (レス) id: 69e5030aaf (このIDを非表示/違反報告)
艦これ好きのクソ提督 - なんだ…ただの神でしたか……((血涙&鼻血 (2016年2月1日 3時) (レス) id: 51475e2470 (このIDを非表示/違反報告)
キクハル@(プロフ) - makiさん» 兄ちゃんが暴走しても抑止力(英&洪)がいるから! (2015年9月22日 8時) (レス) id: 45457549ea (このIDを非表示/違反報告)
キクハル@(プロフ) - いさべるさん» 親分かっこいいですよね! (2015年9月22日 8時) (レス) id: 45457549ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キクハル@ | 作成日時:2014年10月22日 22時

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