〆早く会いたい ページ6
〆
玄樹side
俺たちを乗せた玉座のセットが上昇してるのを浮遊感から感じ取れる。
8月から何公演も同じことをやってきたから、最初よりは怖さはなくなったけど、
それでもやっぱり少し、高いところが怖いという感情は残ってる。
爆音で流れてるミュージック。
裏にいた時よりも近くに聞こえてくる黄色い歓声。
バクバクと大きく跳ね上がってる心臓。
暗闇の中でたくさんの情報が自分の中に入り込んでくる。
そんな状況の中でも、
早くティアラに会いたい。
ライブしたい。
そんな気持ちが怖いという感情を消し去るほどに自分の中で高まってるのがわかる。
一番上までたどり着いた玉座の上で、背筋をスっと伸ばして、大きく深呼吸を一つ。
暗くて何も見えないけど、目の前にはティアラのみんながいる。
そう思うとドキドキが止まらない。
自分を受け入れてくれるのか。
そんな不安も少しどころじゃすまないぐらい胸の中にあるけれど、それはずっと奥にしまい込む。
それよりも、ティアラを幸せにするんだ。
それがアイドルとしての自分、岩橋玄樹だから。
ゆっくりと目を閉じて、タイミングを合わせて目を開く。
そこには、暗黒世界から一転して、
まばゆい光景が視界一面に広がってた。
いままでと比べ物にならないほどの大きな歓声が心に響いてきて、
たくさんのティアラの表情を一つ一つくっきりと捉えることが出来た。
ジュニアのときには味わえなかったであろう感覚。
そんな光景を目に焼き付けながら自然と思い浮かんだのは、
これまで苦しくても頑張ってきてよかったな。って達成感だったり、
この景色を見るために、必死になりながら長年一緒に支えあってきた岸くん、神宮寺の存在とか。
そして、信じて応援し続けてくれたプリンセスたちへの感謝。
自分一人じゃ、絶対にここまで来れなかった。
支えてくれた人たちのおかげでここにいま立ててる。
そのおかげで、いま俺は幸せを感じられてるんだ。
こんなにも沢山の人達が俺たちのそばに居てくれる。
それは当たり前なんかじゃない。
たくさんの先輩たちがいる中で、King & Princeを選んでくれたことが嬉しい。
ずっとみんなに与えてもらってばっかりだから、今度は俺たちがどんなに時間がかかってでもティアラにお返ししなきゃ。
それが俺たちとティアラとの約束。
一生かけても約束守るから。覚悟しててね。
〆
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作者名：李恋-ﾘﾚﾝ- | 作成日時：2019年6月28日 0時
