空っぽの瓶の中、愛をひとつ。【 Yuta.J 】 (ページ16)

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『ペンギン、可愛い… 』

「ね～」

『ペンギンって歩き方独特だよね。
あそこのペンギンはなんかガニ股だし、こっちのは乙女な感じ』

「え～？あ、歩き方といえば Aちゃんの歩き方って可愛いよね」

『は！？』

そんなこと、言われたこと無い…

「え、なんか小動物みたいで」

『え、まじか』

「まじ、可愛いよ」

優しく微笑んで手を繋ぎ直す勇太。

歩き方なんかを可愛いと言われて、喜ぶ自分気持ち悪すぎないか…

好きって、そろそろ自分でも分かってしまったような気がした。

『あっ、くらげ…』

「ほんとだ、行こ」

勇太がくらげの方に向かう。

『くらげ可愛い… 』

「くらげ好きなんだね」

好きかと言うとかなり好きだ。飼いたいくらい．無理だけど、

『うん。くらげになりたいって、本気で思った時期があった』

「え、くらげに？？なんで…」
たしかにくらげになりたいなんて、普通じゃ無いかもしれない。

『中学の頃、恋も、友人も、家族も…人間関係ぜーんぶ疲れちゃって。

死にたく無いから消えたいって思ってね．

そんぐらい病んでた時に、くらげみたいに綺麗に浮いて、水族館で飾られて、みんなに可愛い綺麗って言われたいって。

くらげは、ただ浮いてるだけだから
って。』

「誰かに評価されたかったって事？」

『はは、そうかも、私メンヘラなの』

「じゃあ、今は大丈夫だね」

『え』

「俺がいるもん」

確かに、大丈夫ではあった。

君の存在が、私の中で段々大きくなっていく。