空っぽの瓶の中、愛をひとつ。【 Yuta.J 】 (ページ15)

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あの日から、身体を売るようなことはやめにした．

神宮寺勇太が、あんなにも必死に永瀬廉の誘いを断ってくれたから。

単純だなんてそんなの分かってる．毎日、頭をよぎってる。

『勇太、』

そしてなんと今日はデート(私はデートなんて思ってない)の日だ．

「わ、私服初めてみた」

『 …何、ダサいって？』

「んーん。意外とストリート系なんだね」

『うん、こういうのが好き』

「そっか。じゃあ行こ」

『ああ、うん…』

当たり前のように手を繋がれて、今はこんなもんなの？って思う

普通なら振り払う、これは神宮寺勇太だから良いんだ。

『ね、どこ行くの』

「んー？秘密」

『…変な場所連れてかないでね』

「行かないよ！？」

他の男の人とデートとやらをした事はある。だけど、何も感じなかった．少女漫画みたいなドキドキも、何も。

それがわたしには、悲しすぎたから．

『 …ここ？』

「そ、嫌い？」

『ううん…別に』

水族館。ベタだけど、すごく良いと思った．
だって、遊園地は嫌いだし、なんでお金を払って怖い思いをする？と思う。

だからと言って街をブラブラとかは、ネタが切れた時の気まずさが怖い。

それに、わたしはくらげが好きだ．

くらげになりたいと本気で思った時期があったなぁ、

「じゃ行こっか」

また当たり前のように手を引かれて。

ああ、幸せ。