冬のきまぐれ【葬送のフリーレン】

7話 ページ8

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そんなこんなでまた朝ご飯兼、昼ご飯を振る舞う事になってしまった。だが今回は少し自信がある。


『今日はとっておきのものがあります』
「なんだそりゃ」
『日本人の命とも言っていい、白米を食べてもらいますから』
「…はくまい？」
『もうこれは考えるな、感じろですね』
「変な食い物じゃねぇだろうな」
『そこは安心して下さい』


寝る前にセットしておいた炊飯器を開けば、少しの湯気と共に真っ白な白米が顔を覗かせた。


「…こんなのが食いもんなのかよ」
『そんな顔しないで下さいよ、ちょっと待って下さい』


私は濡らした手に塩を付けて、湯気が残る白米を乗せた。それを適当に握って味付け海苔を巻けば、おにぎりの完成だ。


『これ、おにぎりって言います。後で説明するので今は食べて下さいね。あ、苦手だったら言って下さい』
「…分かった、これも食えるのか？」
『海苔ですか？はい、食べれますよ』


ヴィアベルさんは躊躇った後、渋々口に運んでくれた。すると少しだけ目を丸くして「美味ぇ」とだけ溢したので、私はほっとして冷蔵庫の中から今度は中に入れる具材を出した。


『梅干し入れますか？それとも鮭フレークにします？昆布もありますよ』
『待てよ、何の事かさっぱり分かんねぇ」
『この中に入れる具材を…まあ食べれば分かりますよ』


ヴィアベルさんは待てと言いながらもう一つ目のおにぎりを完食し終わる所だった。私はすぐに新しいおにぎりを握り始める。


『二つ目は食べやすい鮭フレークにしますね』
「アンタは食べねぇのか」
『私は後でいいですよ。起きたばかりですし』


正直、ボサボサの髪や上下スウェット姿なのをどうにかしたかったが、昨日も見られてるから良いか、と謎の心の余裕が生まれた。

それに別に私がどんな格好をしていようとヴィアベルさんは特に何も言わない。単純に私に興味が無いのだろう、そりゃ違う世界の人間に興味を持つはずがないと自己完結する。


「？、何ぼんやりしてんだ」
『あ、どうぞ』
「どーも」


ヴィアベルさんに握り終わったそれを渡せば、「これも美味ぇな」と日が差す窓の方を見つめた。私はそんな彼をちらりと確認した後、自分用のおにぎりを握った。





「そういえば、明日から仕事だって言ってたな」
『そうですね、日中はうちにいないので戸締まりをお願いします。それと、合鍵どうぞ。いつでも外に出ていいですからね』
「…話が早いな」


ニヤリと笑う彼が様になっているとぼんやり思う。

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