32話 ページ33
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目の前に影ができたという事は、ヴィアベルさんが立ってこちらに来たという事だ。でも音がしなかった。これも魔法の一種なのだろうか、と彼に聞こうとした時だった。
『ヴィアベルさ＿＿＿ 』
「もしアンタが、」
耳元で冷淡な声が囁かれ、考えていた事が頭の中から吹き飛ぶ。声色からしてこれは怒っているのか、気に食わない事があったかの二択だ。でもそうすると言っている事がチグハグ過ぎておかしい。
ヴィアベルさんは今、どんな顔をしているのだろう。私がそっと目線を上げれば、いつもの笑っている顔ではなく真剣な顔をしていた。ああこれ本気なんだ、と思って本能的に彼から距離を置こうとすれば、反対にぐっと引き寄せられる。
「アンタが…この世界に失望しちまった時は、俺が攫って行ってやるよ」
『…そんな事、』
「無いってか。そりゃ酷ぇな」
『ち、違くて。そんな事あったら、私、すごく喜んじゃいますよ』
ヴィアベルさんの目が揺らいだ。そして口をぽかんと開けて「本当か」と一つ溢した。そりゃ仕事にものすごーく疲れている時にあちらの世界に行っていいと言われれば従ってしまうかもしれない。
それに戦力になるとは言っても、即戦力ではないだろう。要は最終的にあっちの世界で使い物になるか、ならないかがかかっている。
それなら何とかなるかもしれないし、使い物にならなきゃ村を転々として生活するのも良いかもしれない。
そんな楽観的な考えを頭に浮かべていれば、しゃがんでいたヴィアベルさんに抱きしめられる。
『…うぐ、苦しいです』
ぎゅう、と音が出そうなほど抱きしめられ、私は鈍い声を上げたが、彼は何も言わなかった。
これはしばらくこのままなのでは？と思ってすぐにヴィアベルさんが私から離れ、代わりにいつの間にか現れた杖が向けられる。
『えっ、私を殺すんですか？！』
「馬鹿か。その逆だ」
『その逆…？』
ヴィアベルさんは杖をこちらに向けたまま動かなくなってしまった。まるで何かと葛藤しているように顔をほんの少しだけ歪めた。
『あの、ヴィアベルさんさっきからおかしいですよ』
「…そうか？いつもと同じだろうが」
私の一言に我に帰ったらしい彼は、すぐに杖を向けるのをやめた。瞬く間に杖は消え、口元に薄く笑みを浮かべているヴィアベルさんが視界に映る。
『やっぱり笑顔が似合いますね』
「褒め言葉として受け取っておく」
複雑な気持ちには蓋をしてそう言えば、彼はゆるりと目尻を下げた。
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綾兔 - 彰也さん» 消化ありがとうございます！やっぱり毎話毎話ヴィアベルと夢主の掛け合いが最高です！尊敬してます！それと、完結おめでとうございます！この小説は本当に大好きで、毎回楽しみにしてました！他の作品も頑張ってください！応援してます！ (5月7日 21時) (
レス) @page35 id: 837e222f3a (このIDを非表示/違反報告)
白黒名 - 完結おめでとうございます！ヴィアベル大好きな私は、この作品から色々な栄養をもらっていたので、「冬のきま ぐれ」には感謝の気持ちでいっぱいです！他の作品の執筆にあたっても頑張ってください！応援しています！ (5月4日 23時) (レス) @page42 id: ee8aa02a3c (このIDを非表示/違反報告)
夜凪アリサ(プロフ) - 毎日楽しみにしていた冬のきまぐれ、終わってしまって少し寂しいですけどまた、いつか続き楽しみにしていますね！素敵な作品を作ってくださりありがとうございました！本当にお疲れ様でした！ (5月4日 23時) (レス) @page42 id: 4a128355b0 (このIDを非表示/違反報告)
彰也(プロフ) - 綾兔さん» コメントありがとうございます！ちょうど告白じみた事を夢主がやってしまって〜のくだりをしようとしていたのでリクエスト消化しました！どうでしたでしょうか、、？喜んでくれれば幸いです〜またのリクエストお待ちしています！ (4月28日 21時) (レス) id: 8516ee2748 (このIDを非表示/違反報告)
綾兔 - もうほんとに大好きです！ヴィアベルがかっこいいし、お話が面白くて毎回楽しいです！あの、できたらで良いんですけど、夢主がお酒飲んで酔ってて、ポロっと告白(？)しちゃうって言うのをみてみたいです！これからの展開がめちゃくちゃ楽しみです！応援してます！ (4月28日 11時) (レス) id: 837e222f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彰也 | 作成日時：2024年2月3日 0時
