10話 ページ11
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『っ…ただいま』
「ああ、遅かったな」
ガチャリ、と部屋のドアを開ければ椅子に座って昨日あげた地図を眺めるヴィアベルさんがいた。
良かった、出て行ってなかった。そう安堵したのと同時に自分に呆れる。私よりも彼を上手くサポートしてあちらの世界に帰せる人がいるのかもしれないのに。昼間考えていた事を思い出して何度目か分からないため息を吐いた。
「どうした？何かあったのか」
『い、いや別に何も…』
部屋の入り口で佇む私が変に映ったのか、地図から目を離したヴィアベルさんがこちらを見ていた。
貴方の今後を妄想してただなんて言えない。私はしどろもどろに返事をするしかなかった。
そもそも私達の間には何も無い。違う世界から来た人とその違う世界にいた人、ただそれだけの関係だ。冬は人肌が恋しくなる季節だと言うから、会いたくなったのは寒さのせいかもしれない。
「…おい、何ぼけっとしてんだよ」
『えっ…あ、』
ヴィアベルさんがずかずかとこちらに来たと思えば、突っ立ったままの私の手を掴み、部屋のドアを閉めた。
「開けっ放しだと寒いだろ。それに…アンタの手、冷てぇな」
『ヴィアベルさ…』
初めてだった。初めて、彼が私に触れて、手からじんわりと人の温度を感じられた。その温度に驚き、目を見開いた私に気づいたのか「今度はどうしたんだよ」とヴィアベルさんは面倒くさそうにそう言った。
『ヴィアベルさん…私には触れられるんですね』
「…そうだな。他の奴だとすり抜けちまうから、気づかなかったぜ」
私が指摘すれば彼は目を瞬かせてもう一度私の手をゆるく握った。ヴィアベルさんの男性的な手が一回り小さい私の手を包み込む。
「やっぱり冷てぇ」
『ヴィアベルさんは温かいですね。…そういえば他の人だとすり抜けるって、今日試したんですか？』
「まあな。話しかけたりしたが無駄だった」
『そうですか…』
会話しながらだが、一向に手が離れる気配がない。まずい、これこそ恥ずかしい事なのでは？と思い始めたら最後、じわじわと顔に熱が溜まって彼を直視出来なくなってしまった。
「案外ウブなんだな、アンタ」
『…違います。離して下さい』
「離さねぇ、って言ったら？」
すり、と慣れた手つきで私の手に触れる彼の顔は面白いものを見つけた、と言いそうな顔をしていた。
その数秒後、彼の手から逃げた私は『晩ご飯抜き！』と言うしかなかった。
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綾兔 - 彰也さん» 消化ありがとうございます！やっぱり毎話毎話ヴィアベルと夢主の掛け合いが最高です！尊敬してます！それと、完結おめでとうございます！この小説は本当に大好きで、毎回楽しみにしてました！他の作品も頑張ってください！応援してます！ (5月7日 21時) (
レス) @page35 id: 837e222f3a (このIDを非表示/違反報告)
白黒名 - 完結おめでとうございます！ヴィアベル大好きな私は、この作品から色々な栄養をもらっていたので、「冬のきま ぐれ」には感謝の気持ちでいっぱいです！他の作品の執筆にあたっても頑張ってください！応援しています！ (5月4日 23時) (レス) @page42 id: ee8aa02a3c (このIDを非表示/違反報告)
夜凪アリサ(プロフ) - 毎日楽しみにしていた冬のきまぐれ、終わってしまって少し寂しいですけどまた、いつか続き楽しみにしていますね！素敵な作品を作ってくださりありがとうございました！本当にお疲れ様でした！ (5月4日 23時) (レス) @page42 id: 4a128355b0 (このIDを非表示/違反報告)
彰也(プロフ) - 綾兔さん» コメントありがとうございます！ちょうど告白じみた事を夢主がやってしまって〜のくだりをしようとしていたのでリクエスト消化しました！どうでしたでしょうか、、？喜んでくれれば幸いです〜またのリクエストお待ちしています！ (4月28日 21時) (レス) id: 8516ee2748 (このIDを非表示/違反報告)
綾兔 - もうほんとに大好きです！ヴィアベルがかっこいいし、お話が面白くて毎回楽しいです！あの、できたらで良いんですけど、夢主がお酒飲んで酔ってて、ポロっと告白(？)しちゃうって言うのをみてみたいです！これからの展開がめちゃくちゃ楽しみです！応援してます！ (4月28日 11時) (レス) id: 837e222f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彰也 | 作成日時：2024年2月3日 0時
