あのトキ一瞬で… 【紫】vol.3 (ページ7)

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A先生の事が頭から離れずに、何を喋ったかも覚えてへん

心配をしてくれるメンバーの中、“お前何しとんねん”と喝をいれてくれたヨコ

そのお陰で目が覚めた

彼女の思い出に浸っとっても、何も始まらへん

仕事中に思い出すとか言語道断

こんな事、彼女が知ったら“何やってるの？”と一蹴されるわな

仕事は仕事。ケジメをつけて、それ以外の時間はひたすら彼女を探す時間に費やした

「もしもし、ちょっとお伺いしたいんですけども…」

「お世話になった先生を探してまして…」

「え～っと、それがですね A先生という名前しかわからなくてですね…」

「あぁ、そうですか…いえいえ、こちらこそすんません。ありがとうございました」

「ここもアカンか……」

4月にプリントアウトした保育園一覧表

今電話した保育園の欄に赤色で×印をつけた

春からかけ始めた、彼女を探すための電話

保育園によって対応も様々で

今日の園のように話を聞いてくれて、丁寧に対応してくれる所

話も聞いてもらえず、門前払いの所

個人情報ですので…と、なにも教えてもらえない所

そんな中、結構言われるのは

“苗字、わかりませんか？”

そら、そうや。お世話になった言うてるのに、苗字わからへんなんて、怪しい事この上ない

色々な反応を受けながら、かけ続ける事 1000園。やっと半分連絡をとった頃には、季節は夏。7月になっていた。

休憩しようと携帯をテーブルに置くと、その隣にコトリと置かれた缶コーヒー

「すまんなぁ、ありがとぉ」

「……ん…」

今日はヨコと2人での取材

2人きりの楽屋

なんや……気まずい……