☆橙さんの証言 ページ34
今日は信ちゃんとのラジオ
次は僕らがリスナーさんの相談を受けるコーナー
「え〜っ、東京の“ナオキ”19歳 学生からのメール」
一瞬 眉をひそめて内容を読み上げていく信ちゃん
「村上さん 丸山さん こんばんは。僕は19歳の大学生です。実は、バイト先の3歳年上の先輩に“ひと目惚れ”をしてしまいました。
少しずつ仲良くなってきたのですが、9月になり彼女が突然バイトを辞めてしまいました。彼女の通っていた大学も知りません。店長に聞いてみたのですが“個人情報だから”と教えてもらえませんでした。
彼女の事を探してみようと思ったのですが、彼女が何も言わずに姿を消したのは、もう僕達と関わりたくないからでは と思うと、このまま忘れてしまった方が良いのでは…とも思います。
もしも村上さん 丸山さんが僕の立場ならどうされますか？良きアドバイス宜しくお願いします。との事ですが…」
チラリと僕の顔を見て
「マルは？“ひと目惚れ”とか経験あるん？」
「僕？ないなぁ」
「俺もないんやけど…」
再び開いたその口からは
「俺の“友達”がナオキと同じ様な経験しとるんですわ」
「…………！！」
話し始めたその内容は、どう聞いても信ちゃんとA先生の話で
「…で、友達は半年かけて彼女を探し出して、今はお付き合いしとるんですけども」
クルクルと回していたペンをピタリと止めて
「そいつがね、会わずに後悔するなら気持ち伝えて後悔した方がええって。自分の想いを伝えるのもそぉやけど、彼女の想いも受け止めて一緒に居れたらええなって」
「そっか、えぇ話やねっ」
「会えても会われへんくても それは運命。でもな、運命は自分で切り開くもんやと俺は思う。ナオキも後悔せぇへんようにせぇな」
信ちゃん かっこえぇわぁ〜 でも
自分らの馴れ初め公共の電波に乗せてバラされたら、例え名前出てへんくても、女性はイヤなんちゃうかな？と……
本番終わりの楽屋
いつものタイミングで鳴る信ちゃんの携帯
「A先生、何やって？」
「“なんで あんな事ラジオで話しちゃうの”やて」
あぁ、やっぱり怒ってはるのか…
信ちゃんの様子を伺うと ニコニコしてるから
「怒ってはるんと違うん？」
「ん〜？全然。今日の話を聞いて、ナオキ君が後悔せんようにしてくれたらええな て。この恋 実るとええね やて」
愛おしそうに携帯を見つめる信ちゃんの姿を見ながら
ナオキ君も2人みたいになれますように…と願う 僕でありました
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作者名：ちか
| 作成日時：2015年12月12日 8時
